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解説
AIによる通信ネットワーク自律制御化に向けた研究動向
――AIでのQoE-centricオペレーション実現に向けて――
Autonomous Control of Communication Network by AI: Toward Realization of QoE-centric Operation by AI
abstract
仮想化技術の進展により,通信ネットワークを必要なときに必要なだけ,オンデマンドに利用可能な世界が現実となりつつある.これらの動向を踏まえ,ユーザのサービス体感品質(QoE)を把握し,ふくそうや故障等によりQoEへの影響が顕在化する前,若しくは,QoE劣化の早期段階で,ネットワークを柔軟に制御することで,QoEに関する要件を満たし続けるオペレーションが可能となるが,人手での運用には限界がある.そのため,AIが自ら必要な情報を収集し,必要な措置を判断するネットワークの自律制御化が望まれる.本稿では,制御指標としてのQoE定量化,及び,QoEに基づく通信ネットワークの自律制御化に向けた研究動向について解説する.
キーワード:ネットワークオペレーション,自律制御,AI,QoE,仮想化
通信ネットワークの社会インフラ化が進む中で,通信キャリヤのビジネスモデルは,キャリヤが,直接,顧客や企業にサービスを提供するB2X型から,パートナと連携し,サービス提供者(図1の中央のB)のビジネスをサポートするB2B2X型にシフトしてきている.インターネットで提供するサービスのユーザ体感品質(QoE: Quality of Experience)がブランド・売上げなど経営指標に影響しているという報告がされており(1)~(3),B2B2Xを志向するにあたり,顧客に適切なQoEでサービスを提供できることがサービス提供者に選ばれる上でのキーとなる.
近年の仮想化技術の進展により,クラウドだけでなく,通信ネットワークも顧客のニーズや需要変化に応じて,必要なときに必要な期間,必要な機能やリソースをユーザが柔軟に利用可能な時代も近づきつつある(4).一方で,仮想化されたネットワークでは,物理的な設備と仮想的なネットワーク空間のマッピングが必要であり,管理が複雑になることが予想される.更に,サービスの多様化やパーソナライズ化により管理条件も複雑化しているため,ネットワークオペレータが過去の経験等に基づき,必要な情報を収集,判断することを前提とした運用には限界がある.そこで,ネットワークから得られるデータから個々のユーザのQoEを把握し,適切に管理する検討が行われている(5).また,ネットワークから収集された情報から,人を介在させずに,AIが必要な措置を判断,実行する自律制御ループがホットな研究トピックとなっている(6)~(9).
本稿では,AIを活用することで,サービス事業者がビジネスを展開していく上で,重要な指標となるQoEに基づき,ネットワークの自律制御化を目指した研究動向について解説する.
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