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2018年の訪日外国人旅行客数は3,000万人を突破し,2020年政府の掲げる4,000万人の目標に向けて,着実に推移している(1).急増する訪日外国人旅行客の日本での滞在支援のため,多言語コミュニケーションが課題となっており,課題解決に向け産学官連携の様々な取組みが行われている.
総務省のグローバルコミュニケーション計画(2)では,国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)を中心に,「言葉の壁」を越えたコミュニケーションの実現を目指し,2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて多言語音声翻訳システムの社会実装による「おもてなし」の展開を掲げている.グローバルコミュニケーション開発推進協議会(3)では,グローバルコミュニケーション計画を推進し,多言語音声翻訳の研究開発・実証実験が行われてきた.
また,「2020年オリンピック・パラリンピック大会に向けた多言語対応協議会」(4)では,訪日外国人旅行客の円滑な移動や安心して快適に滞在できる都市環境を目指し,交通,道路,飲食,宿泊,小売等の分野でツールやシステムを活用し,表示,標識,接客会話の多言語対応に取り組んでいる.
以上のように,2020年に向けた取組みがある中で,本稿では,多言語音声翻訳システムの社会実装の事例としてNTTドコモ(以下,当社)の音声翻訳サービスである「はなして翻訳(注1)」とその発展に向けた取組みについて紹介する.
音声翻訳サービスとは,スマートフォンやPC等のマイクを介して入力した特定の言語(入力言語)を,他の言語(目的言語)へ変換し,合成音声を出力することで,日本語と中国語など異なる言語を話す人同士の会話を可能にするサービスである.音声翻訳サービスを実現するシステム構成の一例を図1に示す.音声翻訳サービスのシステムは,マイクで集音した入力言語の音声データをテキスト情報へ変換する音声認識エンジン,入力言語で表現されたテキスト情報を目的言語のテキスト情報へ変換する機械翻訳エンジン,目的言語のテキスト情報を基に合成音声を作成する音声合成エンジンで構成される.
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