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学生/教養のページ
学生がいきいき学び考える電磁気学[Ⅰ]
――電磁気学教育の現状・問題・将来――
Electromagnetics Education[Ⅰ]: How Can We Realize Deep Understanding at Universities and Colleges
電磁気学は電子情報通信工学の基盤であるだけでなく,広く工学・理学の基盤でもある.しかしその深い理解は学生にとって難しい.大学・高専では,学生の理解を高め発想を豊かにするために様々な工夫を凝らしている.2018年3月の本会総合大会で電磁界理論研究専門委員会が企画したシンポジウムでは,教育現場で工夫する教員を中心に取組みやアイデアを発表して頂いた.そしてこれが新たな展開につながるよう,教育に期待する企業人や学生を含む聴講者とともに議論を行った.幸い多くの皆さんに参加頂き,熱い議論となった.ここにその様子を,3回に分けて御紹介する.初回の今回は,講義,実験,可視化についての状況と創意工夫である.
(廣瀬 明)
理工電気系の学科の専門基礎科目である電磁気学は,一部の講義内容が総合教育科目である物理と重複するところもあるが,多くの大学で1年次後期から,若しくは2年次前期から2学期開講されることが多い.
15年ほど前であったか,電気系学科でも電磁気学は物理で教える内容で十分で,別建ての科目は必要ない,若しくは半期の科目で十分だ,という議論が起き,選択科目になったこともあるが,今も必修でというところも多い.
直接目に見えないベクトル現象を扱い,ベクトル解析,複素関数や微積分を駆使して解析的に解くので,学生からは「難しい」,「分からない」と批判され,嫌われる基礎科目の一つである.こうした学生の意見を反映してからか,また公式を覚える高校時代までの勉強法を継続してか直観的で定性的な理解と公式の羅列だけで教えようする教授法も多い.しかし定性的な理解だけでは,実際の応用問題の解決まで進むことは難しく,電磁界理論の研究者としては学生に何とか理解をもっと深めてほしいものである.
本章では,中央大学理工学部電気電子情報通信工学科で担当してきた電磁気学の講義を通して感じたところを述べる.
1年次で学習しているベクトル解析と微積分も理解不足からか,実際に電磁気学の問題に応用しようとするとできないことが多い.微分形の諸公式に使われる微分演算子が出てきて,電界と電位の関係が
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