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解説
半導体集積回路の欠陥とテスト技術
Defect and Test Technology of Integrated Circuits
abstract
今日の半導体集積回路は,その微細化と高集積化がゆえに,設計どおりに正しく製造することや,出荷後に正しく動作させることが困難になっている.本稿では,半導体集積回路における欠陥と故障モデルを紹介し,故障を検出するためのテスト手法及びテスト容易化設計法を紹介する.更に,最新の半導体技術における種々の課題について述べる.
キーワード:欠陥,故障モデル,テスト生成,テスト容易化設計
半導体技術の進展は目覚ましく,半導体集積回路(以下,大規模集積回路:LSIを含む.)の高機能化・小形化・省電力化が可能となった.その結果,その用途(アプリケーション)は多様化し,自動車の運転支援・自動運転機能や医療機器など,人々の暮らしに密着し,高い信頼性・安全性が要求されるようになった.一方,LSIの微細化・高集積化は,「設計どおりに正しく製造すること,設計どおりに動作させること」といった,一見当たり前のことを困難にさせている.
本稿では,LSIの不良(動作の不具合)の原因となる物理的な欠陥のうち代表的なものを紹介する.LSIの信頼性を確保する技術として,テスト生成,テスト容易化設計の概念を述べる.更に,今日のあるいは将来のLSIにおける課題を述べる.
半導体の物理的欠陥とそれを表現する故障モデルを概説する.ここでは特に,半導体のテストを考える上で基本となる故障モデルを紹介する.
LSIにおける断線や短絡などの物理的欠陥(defect)は,製造時に発生するもの,動作中の摩耗劣化などによるものがある.そのような欠陥は,回路中のどの場所でどのように発生するかによって,回路としての振舞いがどのようになるかは様々である.欠陥は,着目している機能に応じて故障(fault)としてモデル化される(1)~(3).
(1)縮退故障
入力信号とは無関係に常に信号線の値が固定される故障を縮退故障(stuck-at fault)という.例として,図1(a)に示す2入力NANDゲートを考える.2入力NANDゲートは,図1(b)に示すCMOSトランジスタ回路で実現される.図1(b)において,もし,電源線Aと出力線Bの間に短絡が起きれば,入力,の値にかかわらず出力値は論理値1で固定される.このような故障を1縮退故障という.このような短絡のほか,トランジスタが導通状態で固定されるような欠陥のときも縮退故障としてモデル化できる.
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