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Alvin Tofflerの「The Third Wave」の観点では,日本のオフィスは1980年以後,産業主義の時代にあった.1980年以降を前半の20年と後半の20年に分けると,前者は電子化に成功した時代,後者はオンライン化に失敗したICTの失われた20年とみなせる.現在は,オフィスの第二次産業革命のただ中にあり,外国由来の新規ビジネスにより税制を含めて大幅な社会変革に直面している.コロナ禍で行政のディジタル化の遅れが顕在化したが,企業も教育現場も同様である.ハードウェア資産ではなく,法制度や人に投資をして,一気に第三の波に乗り換えるチャンスにコロナ禍を利用できれば未来につながる.
キーワード:第三の波,情報環境,ICTと税制,ロジスティクス,Society 5.0
Society 5.0のような派生的バズワードが広まっている割に話題になることは少ないが,2020年はAlvin Tofflerの「The Third Wave」(1)の出版40周年に当たる.情報化社会の到来を告げた本として有名であるが,Tofflerが参照した数多くの取材の中に1976年の東生駒映像情報システム(Hi-OVIS)(2)があり,光ファイバを使った未来型サービスとして紹介されていたこと,情報化社会や脱産業化社会等の名付けは避け,人間の生き方を含め様々な多様性を認めた社会の到来を告げていたことは,覚えておきたい.本稿では,「The Third Wave」の概要と,その観点から,その後の日本社会の変遷,及びコロナ禍後の社会を考えてみたい.
「The Third Wave」は,第二の波(産業革命)に洗われた産業主義の時代を,市場を介して生産者と消費者とに明確に人間を分離し,標準化された製品の大量生産と,標準化された事実の大量生産(マスメディア)を行う社会と定義している.産業主義は,世界は分割可能な塊の有機的集合体という近代科学思想に基づき,原子としての個人まで社会を分解し,規格化,専門化,同時化,集中化,極大化,中央集権化の6個の原則で社会を組み上げる.大都市や巨大企業が経済を支配することは,この6原則で説明可能で,この範ちゅうでは,資本主義も社会主義もその実装例にすぎず,市場を介した疎な関係になることから人間の疎外感は防止できない.また,議員代表制ですら産業主義の観点で解釈できる.
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