小特集 電気学会-電子情報通信学会連携企画 社会インフラの自然災害へのレジリエンスに向けた電気・通信技術 編集にあたって

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Vol.103 No.12 (2020/12) 目次へ

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小特集

電気学会-電子情報通信学会連携企画

社会インフラの自然災害へのレジリエンスに向けた電気・通信技術

小特集編集にあたって

編集チームリーダー 尾辻󠄀泰一

 情報通信技術(ICT)の進化によって,情報通信は全ての“人”と“もの”をリアルタイムでつなぐレベルにまで達し,いわゆる“超スマート社会”と呼ばれる未来社会の具体像が描けるまでに発展している.一方,電力の送電・配電システムは,再生可能エネルギー,蓄電池技術,情報通信技術の発展に支えられ,電力ネットワークのスマート化が加速的に進展している.情報通信機器の大半は電力資源に依存しており,電力資源の安定供給は情報通信技術に依存しているように,両者は相互依存によって成り立っている.2011年3月11日の東日本大震災以降,熊本,西日本,関西,北海道,関東と日本の各地で地震,台風,洪水等の大規模災害が頻発し,通信網途絶や大規模停電等,情報通信網並びに電力エネルギー網のぜい弱性が露呈される事態が続いており,安心安全で耐災害性に優れた社会インフラの再構築が喫緊の課題となっている.そのような背景を踏まえて,社会インフラの自然災害へのレジリエンスに向けた電気・通信技術に焦点を当てて,それぞれの分野における現在の取組みと課題解決に向けた技術動向並びに今後の展望を特集する.本小特集は,情報通信技術を所掌する電子情報通信学会と電力エネルギー技術を所掌する電気学会とが,両学会長のイニシアチブの下で未来志向の連携強化を模索する活動の一環としてかなった初の連携企画である.本企画に尽力頂いた両学会の関係諸氏に深謝する.

 1章では,電気エネルギーシステムの災害対応事例について,電力エネルギー技術の専門家の立場からその取組みについて紹介する.はじめに,2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震において復旧活動の中で電力保安通信ネットワークが果たした役割について,星 英樹氏(北海道電力ネットワーク)に紹介頂く.次に,2019年9月9日に関東に上陸した台風15号によるバースト被害で長期に発生した大規模停電をはじめとする広域災害からの復旧の取組みについて今井伸一氏(東光高岳)に紹介頂く.

 2章では,通信システムの災害対応事例について,情報通信技術の専門家の立場からその取組みについて紹介する.はじめに,2011年3月11日に発生した東日本大震災における広域通信途絶の教訓を基にKDDIにおいて開発された船舶基地局及びドローン・ヘリコプター基地局の開発とその通信インフラ復旧技術の高度化への取組みについて,松ヶ谷篤史氏(KDDI)に紹介頂く.次に,東日本大震災を契機として情報通信研究機構(NICT)が被災地の東北大学に新設した耐災害ICT研究センターを中心とする情報通信ネットワークの耐災害性強化への取組みについて,淡路祥成,廣田悠介,白岩雅輝,徐蘇鋼,久利敏明,大和田泰伯各氏(NICT)に紹介頂く.

 3章では,未来志向のレジリエント・持続可能な電力・通信システムの進化に向けた研究開発の最前線を紹介する.はじめに,自然災害へのレジリエンス向上に寄与する耐災害ICT技術開発の取組みについて,川本雄一氏(東北大)に紹介頂く.次に,Society5.0の実現に向けた分散協調エネルギーマネジメントシステムの研究動向と将来展望について林泰弘氏(早大)に概説頂く.最後に,電力と情報通信のネットワーク基盤の融合によるレジリエントで持続可能な超スマート社会の実現に向けた最近の取組みについて,尾辻󠄀泰一,岩月勝美両氏(東北大)から紹介する.

小特集編集チーム

 尾辻󠄀 泰一  岩月 勝美  新熊 亮一  福知  清  茂呂征一郎  横山 清志 


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