ニュース解説 世界最薄膜・最軽量の有機差動増幅回路を実現――雑音の少ない生体計測が可能に――

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Vol.103 No.2 (2020/2) 目次へ

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◆今月のニュース解説

 世界最薄膜・最軽量の有機差動増幅回路を実現――雑音の少ない生体計測が可能に――

 Realizing World’s Thinnest and Lightest Organic Differential Amplifier Enabling Bioinstrumentation with Reduced Noise Levels

世界最薄膜・最軽量の有機差動増幅回路を実現

――雑音の少ない生体計測が可能に――

 大阪大学産業科学研究所先進電子デバイス研究分野の関谷 毅教授,植村隆文准教授,杉山真弘氏らのグループは,生体計測に使える世界最薄膜・最軽量の有機差動増幅回路を開発した.膜厚は僅か2µmであり,有機トランジスタのばらつきを補償する技術の導入により,心電信号を計測において信号対雑音比(SN比)を50倍改善することに成功した.

 世界的な少子高齢化時代を迎える現代において,疾病の予防や疾患の診断・治療の効率化及び高精度化が重要となっている.そうした中で,有機トランジスタに代表される生体との親和性が高いフレキシブルエレクトロニクス技術の医療・ヘルスケア応用への展開が盛んに進められている.

 これまで生体情報を取得する医療・ヘルスケア用途の生体センサには,無機半導体などの“硬い”電子材料が用いられてきたため,“柔らかい”生体組織との親和性が低いという問題があった.実際に,硬いセンサや電子素子が皮膚や臓器などの柔らかい生体に触れると炎症を起こしやすく,日常生活における長時間の生体情報のセンシングが困難であり,病気の診断や予防に活用できる十分な情報を得ることが難しかった.

 一方,有機トランジスタは半導体に有機材料を用いており,ポリマーフィルムといった軽量で薄膜の基板上に低温プロセスで作製できることから,柔軟性に優れ生体適合性の高い生体センサの電子素子として期待されている.このようなフレキシブル生体センサを用いることで,日常生活において装着時の違和感やストレスなく人々の生体情報を取得することが可能となる.


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