解説 通信ネットワークにおけるアクティブ障害監視パス群の経路構成法

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解説

通信ネットワークにおけるアクティブ障害監視パス群の経路構成法

Active Monitoring Trails Computation in Transport Networks

荻野長生

荻野長生 正員 (株)KDDI総合研究所コネクティッドカー1グループ

Nagao OGINO, Member (Connected Car Laboratory 1, KDDI Research Inc., Fujimino-shi, 356-8502 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.103 No.4 pp.407-412 2020年4月

©電子情報通信学会2020

abstract

 通信ネットワークに接続した複数の監視装置間で試験パケットを送受信して障害監視を行うアクティブ障害監視技術は,ネットワーク機器のサイレント障害等の検出に有効である.論理型ネットワークトモグラフィーとしてインターネットを対象にした同様な技術の研究が進められている一方で,トランスポートネットワークでは,ソースルーチング技術を用いて,効率的な監視パス群の経路構成が可能となる.本稿では,トランスポートネットワークにおけるリンク障害の特定を中心に,アクティブ障害監視パス群の最適経路構成法に関する研究動向を紹介する.

キーワード:ネットワーク最適化,アクティブ障害監視,監視パス群経路構成,発見的手法

1.は じ め に

 通信ネットワークに接続した複数の監視装置間で試験パケットを転送して障害監視を行うアクティブ障害監視技術は,一部のノードに監視装置を設置すればよく,ネットワーク運用の観点から有利である(1).またエンドツーエンドの試験パケット転送品質を監視することで,ネットワーク機器で生じるサイレント障害の検出も可能である(2).ネットワークの外部から内部の障害を推定する同様な技術として,インターネットを対象にした論理型ネットワークトモグラフィーに関する研究が進められている(3).論理型ネットワークトモグラフィーでは,試験パケットが通過する監視パス群の経路は,インターネットにおけるルーチングプロトコルによって規定されると考える.一方,トランスポートネットワークを対象にしたアクティブ障害監視では,ソースルーチング技術を用いて,監視パス群経路の効率的な構成が可能である(4),(5).しかしながら,試験パケットの転送品質パターンから,想定される全ての障害を特定できるような監視パス群経路を構成する問題は,複雑な組合せ最適化問題となる.

 本稿では,論理型ネットワークトモグラフィー及びアクティブ障害監視技術について概要を説明した後,特にアクティブ障害監視における監視パス群の経路構成法に関する研究動向を紹介する.監視パス群の段階的経路構成法に続き,迅速な障害特定を目的とする監視パス群の一括経路構成法に関して,発見的手法を中心に筆者らの研究成果も交えて詳しく説明する.

2.論理型ネットワークトモグラフィー

2.1 問題の定式化

 論理型ネットワークトモグラフィーあるいはアクティブ障害監視とは,図1に示すように,監視対象ネットワークを構成する一部のノードに監視装置を接続し,監視装置間で送受信される試験パケットの転送品質パターンから,ネットワーク内部の各ノード(ルータ装置等のスイッチングノード)や各リンク(ノード間を接続する伝送リンク)の障害状態を推定する手法である(1)(3).ここで監視対象ネットワークのリンク集合をmath,試験パケットが転送される監視パス(本稿では,試験パケットの転送路を指し,経路タイプ(用語)としてのパスとは異なる.)集合をmathで表す.また各リンクの状態を論理値(障害時に1,正常時に0)で表すリンク状態ベクトルmathと,各監視パス上のエンドツーエンドでの試験パケット転送品質を論理値(品質劣化時に1,通常品質時に0)で表す観測ベクトルmathとを定義する.このとき,次の式が成り立つ.

math

(1)


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