小特集 2. 【生産×ICT】リモートセンシングによる農作物生育診断

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食とICT

小特集 2.

【生産×ICT】
リモートセンシングによる農作物生育診断

Monitoring of Crop Growth Using Remote Sensing

本間香貴 橋本直之 牧 雅康 倉本泰隆 趙 昱 八幡晃一郎 山本知史

本間香貴 東北大学大学院農学研究科資源生物科学専攻

橋本直之 東北大学大学院農学研究科資源生物科学専攻

牧 雅康 福島大学農学群食農学類

倉本泰隆 (株)スカイマティクス

趙 昱 (株)日立製作所研究開発グループ

八幡晃一郎 (株)日立製作所研究開発グループ

山本知史 (株)日立製作所研究開発グループ

Koki HOMMA, Naoyuki HASHIMOTO, Nonmembers (Graduate School of Agricultural Science, Tohoku University, Sendai-shi, 980-0845 Japan), Masayasu MAKI, Nonmember (Faculty of Food and Agricultural Science, Fukushima University, Fukushima-shi, 960-1296 Japan), Yasutaka KURAMOTO, Nonmember (Skymatix, Inc., Tokyo, 103-0021 Japan), Yu ZHAO, Koichiro YAWATA, and Tomonori YAMAMOTO, Nonmembers (Research & Development Group, Hitachi Ltd., Kokubunji-shi, 185-8601 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.103 No.9 pp.883-889 2020年9月

©電子情報通信学会2020

abstract

 農作物の栽培管理を最適化するためには作物の生育診断に資する情報の収集が重要である.情報収集の省力化・高度化などの観点から,対象物の情報を遠隔から取得するリモートセンシングを利用する取組みが検討されてきた.現在,衛星リモートセンシングでは水稲の収量評価,UAV(Unmanned Aerial Vehicle)リモートセンシングでは野菜の収量推計などが実利用されている.今後更に実利用化を進めるためには,リモートセンシングの課題と運用要件を踏まえた構想が重要である.

キーワード:人工衛星,生育診断,農作物,無人航空機,リモートセンシング

1.ま え が き

 我が国の農業は御存じのとおり担い手の減少が続き,経営耕地面積の多い農業経営体が増加しつつある.2018年では10ha以上の経営体が管理する農地が,全耕地面積の50%以上を占める状況となっており,この増加傾向は更に続くと考えられている(1).そのため圃場(作物を栽培する農地)の大区画化やそれに対応した農作業技術の開発が進められると同時に,ICT技術の導入などによるスマート農業の実装も進められつつある.そうした実装が進められつつある技術の一つにリモートセンシング(対象物から反射あるいは放射される電磁波を観測することで対象物の情報を遠隔から得る技術)による農作物生育診断が挙げられる.

 農作物の栽培管理は適期に行うことが重要であるが,天候などの条件により時期は左右され,経営規模が大きくなれば作業競合などの問題も発生する.更にコスト当りの生産性なども考慮する必要があることから,生育診断に基づいて優先順位を付け,最適な管理を選択することが求められる.従来,生育診断は作業者の観察と経験及び勘によって判断されていたが,リモートセンシングによる合理的な基準の導入も期待されている.

 農地における農作物を対象としたリモートセンシングは,計測者が携行した機器で行うものから航空機を利用したものなど多種多様なものがあるが,センサや搭載機体の開発により,人工衛星と無人航空機を利用したものの発展が著しい.そこで本稿ではその二つを取り上げ,農作物栽培において利用される情報を整理しつつ,技術動向と実利用例の紹介を行う.

2.農作物栽培において利用される情報


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