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編集チームリーダー 川端明生
政府においても,2021~2025年の第6期科学技術基本計画に向けた取組みが進められていますが,2016年に策定された第5期科学技術基本計画では,我が国が目指すべき未来社会の姿が提唱されています.その中では,狩猟社会(Society 1.0),農耕社会(Society 2.0),工業社会(Society 3.0),情報社会(Society 4.0)に続く,新たな社会を指すものとしてSociety 5.0がうたわれています.Society 5.0では,IoT(Internet of Things)で全ての人と‘もの’がつながり,様々な知識や情報が共有され,今までにない新たな価値を生み出すことで,様々な課題や困難を克服するとされています.また,昨年は新型コロナウイルスの感染拡大により,社会生活が大きく影響を受けました.感染の抑制から不要不急の外出の自粛により在宅中心の生活スタイルとなり「新たな生活様式」による快適な社会の実現が望まれています.地球温暖化に伴う猛暑や豪雨など自然災害も多く,たくさんの方々の尊い命も奪われました.
昨年はいろいろな面で,「耐える1年」となりましたが,新たな年を迎えるにあたって,今年は「苦難を克服する年」として,新たな環境変化に対応し,様々な知識や情報が共有され,今までにない新たな価値を生み出すことで,様々な課題や困難を克服する年にしたいと願っています.本会誌も新年の特集号として,情報通信技術が様々な産業の発展や新たな社会生活へ貢献することを期待しつつ「産業の新たな変革をけん引するICT」と題した特別小特集を企画しました.
特集の中では,医療・金融・流通・ものづくり・エンターテイメントと様々な産業分野でのICT技術の応用例や今後の技術発展への期待を紹介して頂きます.医療分野では,処方薬選択や保健事業等のヘルスケア分野の様々なAI応用事例を御紹介し,今後のAI活用の可能性について解説頂いています.金融分野では,金融情報システムのれい明期から,金融機関の業務を大幅に効率化した発展期の歴史を振り返り,フィンテックが登場した現代における新たな可能性について解説頂いています.流通分野では,商流・物流・金流の三つの流れにおける情報システム化と流通としての‘もの’の動きの見える化について解説頂いています.ものづくり分野では,複数ロボットの遠隔制御による協調搬送システムの活用とクラウドネットワークを介して様々な外部センサやコンピュータを活用してロボットを遠隔制御する商用のクラウド環境で実験して評価について解説頂いています.エンターテイメント分野では,視聴者ごとの見たい聴きたいを実現する音のVR技術として,360度動画像のインタラクティブ視聴において視聴者ごとの好みの被写体に,音と映像で近づけるという視聴者視点の新たな体験価値について解説頂いています.
いずれの分野も情報通信産業以外の産業分野でのICTの貢献と期待に満ちた内容で読み応えのある内容となっています.「苦難を克服する年」のはじめとして,ICTを駆使した新たな未来をイメージする機会となって頂ければ幸いです.
特別小特集編集チーム
川端 明生 井ノ上直己 熊谷 太一 東村 邦彦 宮村 崇
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