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質の高い医療を多くの人々に提供することを目指し,国内外で,ヘルスケア分野の情報の電子化とArtificial Intelligence(AI)活用が加速している(1),(2).米国では,電子化された日々の診療データの分析から患者ごとにより適した治療方法を選択可能にするLearning Health System(3)や個別化医療の推進,アメリカ食品医薬品局(FDA: Food and Drug Administration)によるAI活用ソフトウェアの承認プロセスの開始,電子化された情報に基づいて治療効果や患者満足度などの医療の質を踏まえた保険償還方式(Value based reimbursement)の移行(4)など,新しい取組みが進められている.
我が国では,健康・医療・介護の分野を有機的に連結したICTインフラを構築して,個人に最適なサービス提供を図るデータヘルス改革が進行中である.セキュリティを確保した上で,AIを活用したサービスの高度化や省力化が進められ,Society5.0時代の持続可能な保険医療を支えるための取組みが進められている(5).
より良い医療の実現には,①Predictive(予測できること),②Personalized(個別最適化できること),③Preventive(予防できること),④Participatory(患者参画型であること),が重要であると言われている(6).AIは,予測や分類を行う手法が多く開発されており,医療分野に生かせる可能性も高いと考えられる.
本稿では,筆者らの取組みを中心にヘルスケア分野の様々なAI応用事例を紹介するとともに,本分野における今後のAI活用の可能性について紹介する.
図1は,ヘルスケアデータの電子化と主なAI活用領域である.Electronic Health Record(EHR)及びPersonal Health Record(PHR)を中心として収集・蓄積された健康・医療・介護データを活用して,予防・健康増進,診断,治療,予後の各サービスの質向上,業務効率化,安全対策等の技術を向上させるAIが開発されている.例えば,AIを活用して病巣候補を画像上に提示することで,診断精度の向上や省力化を図る画像診断支援(7),(8)や,短期間で高い効果が得られるリハビリテーションのメニュー作成を支援するリハビリ計画策定などの技術が開発されている.
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