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スミスチャートの歩き方[Ⅲ]
――拡大縮小編――

Arcs of Supreme Elegance [Ⅲ]: Hyperbolic Magnifier

大平 孝

大平 孝 正員:フェロー 豊橋技術科学大学未来ビークルシティリサーチセンター

Takashi OHIRA, Fellow (Research Center for Future Vehicle City, Toyohashi University of Technology, Toyohashi-shi, 441-8580 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.104 No.3 pp.265-268 2021年3月

©電子情報通信学会2021

1.定在波ルネサンス

 LC編・線路編に続くシリーズ第3話は定在波比(SWR)の視点からスミスチャート(1)(4)に迫る.SWRは昭和時代に高周波の業界で使われていた性能指標である.当時広く用いられていたアナログ振針式SWRメータの例を図1に示す.平成時代になりSWRは多くのシーンで反射率math(dB)に読み替えられてしまった.現在SWRはアンテナの仕様諸元の一つとして辛うじて生き残っている.令和時代になりSWR復活を目指すルネサンス活動が浮上してきた.数学的観点からもSWRは優美性を秘めている(5)(8).本稿ではSWRを鮮やかに駆使してチャートを滑らかに拡大縮小する手法を紹介する.

図1 SWR(上目盛)と電力反射率(下目盛)を同時に読み取るアナログメータ

2.反射率の絶対値と偏角

 本シリーズに幾たびと登場している複素反射率math(反射係数とも呼ぶ)から出発する.mathはメビウス変換

math

(1)

を介してインピーダンスmathと相互に読み替えができる.mathは虚数単位.分母分子の50mathは基準インピーダンスである.mathの絶対値をmathと書くと


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