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講座
高周波測定を学び直す:Sパラメータ解析とネットワークアナライザ[Ⅰ]
――Sパラメータの復習とネットワークアナライザの構造――
S-parameter and Network Analyzer[Ⅰ]: S-parameter and Architecture of Network Analyzer
5GやIEEE802.11ad,車載レーダなど近年ミリ波帯の活用が進んでおり,それらに利用される電子デバイスの高周波化が進んでいる.また,データレートの高速化に伴い,ディジタル回路においても高周波回路として扱う必要が出てきており,高周波について正しく測定するスキルがますます重要になっている.本講座では,高周波測定で普及しているSパラメータ及びネットワークアナライザを使った測定原理・方法について解説する.測定器の選定や,正確かつ効率的な測定を実施するために役立ててもらいたい.
Sパラメータ(Scattering Parameter)とは,高周波電子回路・電子部品の特性を示すために最も共通的に用いられているパラメータであり,散乱行列とも呼ばれている.詳細な定義については,他の文献を参考にして欲しい(1),(2).ここでは2ポートデバイスについて,Sパラメータのイメージを説明する.
ポート1からDUT(被測定物:Device Under Test)へ正弦波を入力し,そのままポート1に反射してくる割合を示したものがであり,ポート1からの入力信号がポート2に伝送していく割合がとなる(図1).Sパラメータは振幅と位相の変化の割合を示したものなので,ベクトル若しくは複素数で表現される.同様にポート2からポート2への反射がであり,ポート2からポート1へ伝送していく割合がである.また,ポートを終端とするインピーダンスを基準インピーダンスと呼び,基準インピーダンスに応じてこれらの量は変わってくるため,Sパラメータは基準インピーダンスと同時に利用しなければ意味がない.2ポートデバイスの場合にはSパラメータは上記四つだが,一般的にポートを有するデバイスの場合には個のSパラメータで表現できる.なお,基準インピーダンスとしては,50が選ばれることが多い.
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