小特集 2. 植物の生育特徴量計測における低価格小形コンピュータの可能性

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ICTによる農林畜産業への取組――回路とシステムの観点から―

小特集 2.

植物の生育特徴量計測における低価格小形コンピュータの可能性

Potential of Low-cost Small Computers for Plant Growth Feature Values Measurement

岡安崇史 伊藤次郎 ハミダ アストリアティ

岡安崇史 九州大学大学院農学研究院環境農学部門

伊藤次郎 九州大学大学院生物資源環境科学府環境農学専攻

ハミダ アストリアティ Vena Energy Engineering

Takashi OKAYASU, Nonmember (Faculty of Agriculture, Kyushu University, Fukuoka-shi, 819-0395 Japan), Jiro ITO, Nonmember (Graduate School of Bioresource and Bioenvironmental Sciences, Kyushu University, Fukuoka-shi, 819-0395 Japan), and Astriati HAMIDAH, Nonmember (Vena Energy Engineering, Fukuoka-shi, 819-0395 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.104 No.6 pp.532-537 2021年6月

©電子情報通信学会2021

Abstract

 植物の栽培管理技術や育種の高度化には,植物生育環境のみならず,植物の成長や環境応答性を計測・評価する技術の開発が求められる.近年では,ICT(Information and Communication Technology)の目覚ましい発展を受けて,IoT(Internet of Things)やAI(Artificial Intelligence)などを利用した計測・評価技術の開発が盛んに行われている.その背景には,センサ,カメラ,コンピュータ等のハードウェアの低価格化が進んだことに加えて,これらの機器を利用するためのソフトウェアがオープンソースとして提供されるようになったことが大きく関係している.したがって,アイデアと機器開発に関する知識・技術があれば,計測装置を自作することも十分可能な環境が整いつつある.

 本稿では,植物生育情報の計測に対する低価格の小形コンピュータ利用の可能性について,研究事例も交えながら述べさせて頂く.

キーワード:植物生育特徴量,植物フェノタイピング,画像処理・解析,スマート農業

1.緒     言

 我が国の農業は農家の高齢化や担い手の不足,猛暑や豪雨のような異常気象への対応などの様々な課題に直面している.これらの課題を克服するため,経験や勘に基づく農業から,IoTやAIなどを駆使して収集した圃場環境や植物生育状態などの情報に基づく「スマート農業」への転換を進めている.最終的には,農業生産から農産物流通・消費に至る全ての工程を情報でつなぐ「スマートフードサプライシステム」を構築することが目的である.

 一方,様々な環境条件下における植物の生育状態を高精度に計測するため,近年ではドローンやロボットが利用される.中でも,植物フェノタイピング技術(植物の生理生態反応や成長を定量的に計測・評価する技術)は国内外で盛んに研究が行われており,植物の遺伝子型(植物の形状,色,果実の形,色,味などを決定するための設計図)理解のための表現型(遺伝子発現によって現れる植物の形状や色など)発現の抽出から,環境応答性(遺伝子発現の環境要素に対する応答性で非常に多様で複雑な応答を示す)などの動的な表現型発現の追跡に至るまで多種多様である(1)

 本稿では,スマート農業の発展だけではなく,植物育種の効率化・高速化にも貢献し得る植物生育特徴量の計測を題材に,低価格小形コンピュータ利用の可能性について,筆者らが現在実施中の研究事例も交えながら紹介させて頂く.

2.植物フェノタイピングシステムを用いた植物生育特徴量の計測と利用


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