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解説
移動体通信の未来,地上二次元セル構成から三次元空間セル構成へ
From 2D Ground Cell Configuration to 3D Space Cell Configuration in Mobile Communication
A bstract
昨今,都市部を中心にビルの中高層階における携帯通信が増大している.また,上空を自在に移動するドローンや空飛ぶ自動車などが話題となっており,それらとの通信を確保する手段として,移動体通信の活用が期待されている.その実現手段として,現行の二次元地上セル構成から中高層階や上空の携帯端末との通信を同時に可能とする様々な三次元空間セル構成が検討されている.周波数利用率の観点からはそれらが同一周波数で共用できることが望ましい.
本稿では様々な三次元空間セル構成を連携させて,同一周波数で実現する三次元空間セル構成の概要を述べる.
キーワード:移動通信,二次元セル構成,三次元空間セル構成,HAPS,ドローン
昨今,都市部を中心にビルの中高層階における携帯通信が増大している.また,上空を自在に移動するドローンや空飛ぶ自動車などが話題となっており,それらとの通信を確保する手段として,カバーエリアが広く,ブロードバンド通信が可能な移動体通信の活用が期待されている.しかし,現行の携帯通信は地上の基地局と地上の携帯端末(以下,地上端末)との通信が基本であり,セル構成の観点からは地上にセルを平面的に配置した二次元セル構成であり,ビルの中高層階や上空の携帯端末との通信を確保する三次元空間セル構成ではない.
そこで,中高層階や上空の携帯端末との通信を可能とする三次元空間セル構成が期待されている.
例えば,地上マクロセル内に同一周波数を利用するスモールセルを複数設置して構成する地上二次元HetNet(Heterogeneous Network)構成(1)を高さ方向に拡張して,スモールセルをビルの中高層階に設置して構成する三次元空間HetNet構成が注目されている(2),(3).
また,地上基地局が第5世代(5G)のビームフォーミング技術を用いて地上とビルの中高層階やその上空を,同一周波数を用いてサービスエリア化する“三次元空間セル構成”が新たな技術として検討が進められている(4),(5).
一方,地上20kmの上空の成層圏に無線中継局を搭載した無人飛行機(HAPS)を停留飛行させて,成層圏の上空から地上やその上空を同時にサービスエリア化するHAPSによる三次元空間セル構成が再び脚光を浴びている(6)~(8).
冬季の山岳における雪崩による遭難,台風や地震により発生する土砂災害等による遭難が近年増加している.これらの遭難では,遭難者は雪,土砂,がれきの下に埋もれ,遭難者の携帯端末がサービスエリア外となり,携帯端末が受信しているGPS情報を送信できない場合がある.そこで,ドローンに搭載した無線中継局により携帯端末が深く埋もれた空間を臨時にサービスエリア化して携帯端末の位置を特定する臨時三次元空間セル構成が検討されている(9),(10).
本稿では,HetNet構成によりビルの中高層階をエリア化する三次元空間セル構成,地上基地局により地上と中高層階や上空を同時にエリア化する三次元空間セル構成,HAPSにより地上や上空を同時にサービスエリア化する三次元空間セル構成,更に臨時無線中継局により地上から埋まった空間をサービスエリア化する“臨時三次元空間セル構成”について概説する.
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