小特集 2-3 学習者主体型教育を実現する学習分析基盤

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Vol.104 No.8 (2021/8) 目次へ

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2.開発者側の視点  
――コンピュータを用いた学習支援環境の整備――

小特集 2-3

学習者主体型教育を実現する学習分析基盤

Learning Analytics Foundation for Learner-centered Education

島田敬士

島田敬士 正員 九州大学大学院システム情報科学研究院情報知能工学部門

Atsushi SHIMADA, Member (Faculty of Information Science and Electrical Engineering, Kyushu University, Fukuoka-shi, 819-0395 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.104 No.8 pp.867-871 2021年8月

©電子情報通信学会2021

Abstract

 近年,教育の情報化が進み,様々なディジタル学習環境を活用した教育・学習が行われるようになってきている.ディジタル学習環境では,学習者のシステムの利用状況や,レポートやテストなどの学習成果などを収集することができるだけでなく,システムに蓄積されるデータを分析することで,各学習者に適した学習改善のための介入などを行うことが可能になる.本稿では教育の情報化が進んでいる大学の教育環境において,学習者主体型教育の環境の実現に向けた学習分析基盤について概説し,実際の取組み事例についても紹介する.なお,本稿はディジタル学習環境を活用する教師や学生に広く読んでもらえると幸いである.

キーワード:学習分析基盤,ディジタル学習環境,学習者主体型教育,教育の情報化

1.は じ め に

 教育機関へのICT環境の導入や,ノートPC,タブレット型端末などの情報端末の配備など,いわゆる教育の情報化が進んでいる.このような情報化により,学習管理システム(LMS: Learning Management System(1))やディジタル教科書システムなどのディジタル学習環境を利用した教育を行うことができるようになる.ディジタル学習環境を利用する利点として,まず,よりリッチな学習コンテンツの提供,個人の状況に応じた学習支援,添削指導の自動化などが挙げられる.それらに加えて,教育や学習のプロセスを含めてデータとして記録することができるという大きなメリットがある.また,そのようにして記録されたデータの分析を通して得られる結果を,個人にフィードバックして,自らの学習をデータで振り返るようなことも可能になる.

 教育の情報化は,GIGAスクール構想などの施策からも分かるように,国家レベルでその整備が進んでいる状況である.本稿を執筆した時点では,初等中等教育においては環境整備中であるものの,高等教育,特に大学においてはLMS等を導入している機関も多い.更に,大学によっては学生に個人の所有するPC端末を持参させて大学の授業を受講してもらうBYOD(Bring Your Own Device)の取組みも始まっている.本稿では,そのような教育の情報化が進んでいる大学に焦点を当てて,ディジタル学習環境を活用した教育データの収集やその活用事例について紹介する.具体的には,筆者が所属する九州大学における学習分析基盤技術に関する取組みを紹介しつつ,特に研究として進められている,学習者がディジタル学習環境を積極的に活用し,自らの学びを効率化・高度化することを支援するための学習者主体型教育の環境の実現に向けた取組みについて紹介する.

2.学習者主体型教育を支援する学習分析基盤


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