解説 IEEE 802.11be最新標準化動向

電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
Vol.105 No.10 (2022/10) 目次へ

前の記事へ次の記事へ


 解説 

IEEE 802.11be最新標準化動向

Latest Trends in IEEE802.11be Standardization

足立朋子

足立朋子 正員:シニア会員 (株)東芝研究開発センター

Tomoko ADACHI, Senior Member (Corporate Research & Development Center, Toshiba Corporation, Kawasaki-shi, 212-8582 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.105 No.10 pp.1222-1228 2022年10月

©電子情報通信学会2022

A bstract

 コロナ禍を受けてテレワークが進み,無線LAN(Local Area Network),いわゆるWi-Fiの存在感がますます増している.市場製品で最新の無線LAN規格はWi-Fi 6/Wi-Fi 6Eと表示されるIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11axであるが,高速化系無線LANの標準化活動としてはIEEE 802.11be標準化が現在佳境を迎えている.本稿では活動開始の背景として高速化系無線LANの変遷を俯瞰した上で,IEEE 802.11be標準化の目標やターゲット,Wi-Fi 7として認証準備が開始されている主要技術について解説する.

キーワード:無線LAN,IEEE802.11be,Wi-Fi 7

1.は じ め に

 本稿で紹介するIEEE 802.11be標準化は,IEEE802.11a/b/g/n/ac/axの流れを組む高速化系無線LANの最新標準化活動である(1).米国の学会であるIEEEの下,802.11 Working Group(WG)(2)で無線LANの各種標準化は行われている.各種,と記載したのは,お互いにユニークな目標を立てたTask Group(TG)が複数標準化活動を展開しているためである.最新の高速化系活動を行っているのがTGbeであり,802.11be規格を策定する.

 IEEE 802.11無線LAN関連規格の規定範囲はOSI(Open Systems Interconnection)参照モデルのレイヤ1である物理(PHY: Physical)層とレイヤ2のデータリンク層のうちの下位副層である媒体アクセス制御(MAC: Medium Access Control)副層(以降ではMAC層と呼ぶ)である(図1).

図1 IEEE 802.11無線LAN関連規格の規定範囲  OSI参照モデルはコンピュータなど通信機器の通信機能をレイヤ1からレイヤ7の7階層に分けるが,IEEE 802.11無線LAN関連規格の規定対象はレイヤ1(物理層)とレイヤ2の下位副層であるMAC副層である.

 なお無線LANは広くWi-Fiとして親しまれているが,このWi-FiはIEEE 802.11無線LAN関連規格に準じた製品の相互接続性試験基準や製品としてサポートすべき機能基準等を定めるWi-Fi Alliance(3)から来るものである.IEEE 802.11ax規格に対応するWi-Fi Allianceでの認証名は,従来の無線LANと同じ2.4GHz帯あるいは5GHz帯を利用する場合にはWi-Fi 6,新たに世界各国で開放が進んでいる6GHz帯に対応する場合にはWi-Fi 6Eである.IEEE 802.11ax規格に先立つIEEE 802.11ac規格はWi-Fi 5,IEEE 802.11n規格はWi-Fi 4である.そして来たるIEEE 802.11be規格はWi-Fi 7となる.

2.802.11be標準化活動開始の背景


続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。


続きを読む(PDF)   バックナンバーを購入する    入会登録

  

電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。

電子情報通信学会誌 会誌アプリのお知らせ

電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード

  Google Play で手に入れよう

本サイトでは会誌記事の一部を試し読み用として提供しています。