巻頭言 より大きな見返りを

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Vol.105 No.3 (2022/3) 目次へ

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巻頭言

より大きな見返りを Take More Return than Give基礎・境界ソサイエティ会長 髙橋篤司

 この巻頭言は会誌に掲載される現在の会員向けのメッセージです.しかし,オンラインにも掲載され,誰でもいつでも読むことができるので,非会員の方や将来の会員に向けたメッセージといった意味合いもあります.この巻頭言を読んでいる方は,何らかの形で電子情報通信に関して,学会に期待している方かと思います.学会はその期待に十分応えることができているでしょうか.最近,若手会員が減少傾向にあるようです.学会が若手のニーズに十分応えていないということかもしれません.

 会員は様々な形で学会にボランティアとして貢献することが期待されています.もちろん,崇高なボランティアとして,単なる無償奉仕,滅私奉公することが期待されているのではありません.学会は,社会貢献のために存在する組織,仕組みです.とはいえ,会員が何の見返りも得られない組織,仕組みでは,存在意義はほとんどなく,長くは継続しないでしょう.学会は,ギブアンドテイクで成り立つ組織です.ただし,ゼロサムゲームの仕組みではなく価値を創造する組織です.会員には,それぞれの貢献以上の大きな見返りを,学会から受け取って頂きたいと思います.何を貢献と考え,何を見返りと考えるか,その軽重は人それぞれでしょう.会員の小さな貢献に対して,個人として,社会全体として,直接的に,間接的に,短期的に,長期的に,様々な形で大きな見返りが得られてこそ,学会の存在意義があります.電子情報通信学会は,単に貢献に見合う見返りを与えるのではなく,レバレッジを効かせて,より大きな増幅率で見返りが得られるよう,将来を見据えつつ環境の変化に合わせて,適応し続けていく必要があるでしょう.

 会員は様々な形で学会に貢献しています.会費を払う,研究成果を発表する,会議運営や編集作業に従事する,といったことだけが貢献ではありません.それぞれが抱えている課題を解決する糸口を探るため,興味を持っている事柄を調べるために,学会のコンテンツにアクセスする,たとえ発表しなくても研究会に参加して参加者と雑談する,といったことも学会に対する貢献の一つです.学会は会員の興味やニーズを分析し,次の行動の指針を得ることができ,多様なシーズとニーズを持った会員が交流する場を提供することで,より大きな見返りを提供できるようになります.

 是非とも学会に対する様々な不満をお寄せ下さい.様々な不満が寄せられるということは,学会が大いに期待されていることの証です.コロナ禍の影響で対面の会議の実施が難しくなり,短期間に会議などのオンライン化が進みました.これまで様々な懸念や慣習に引きずられて,まだ一部でしか使われていなかったオンラインツールは,様々な問題点には目をつぶり,十分とは言えない状態で,とりあえず使ってみて,問題点を解消しながら改良を加えるアジャイル開発の結果,大きく進化しました.しかし,まだまだ多くの人はツールの使い勝手や性能に不満を持っているのではないかと思います.満足していたらそこで進化は終わり停滞期に入ります.不満を感じることは進化の種です.是非とも進化の種を学会にまいて頂ければと思います.学会が,どのように変わっていくべきかというアドバイスは更に歓迎で,更にそれらの実現に向けて自ら活動頂けたら大歓迎です.それぞれが得意とすることを提供し合うことで,効率的に効果的に価値を創造し,大きな見返りを得ましょう.基礎・境界ソサイエティはそのための手助けができたらと考えています.


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