電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
© Copyright IEICE. All rights reserved.
|
人はなぜどのようにして特定の“ヒト”,“モノ”,“コト”にひかれるのか.それは一人一人の好みや感性の問題だと思われがちである.しかし,深層学習をはじめとする機械学習技術の成熟と様々なビジネスデータのディジタル化により,「刺さる」「映える」といった人をひきつけるサービスやコンテンツを予測したり再現したりすることが可能になりつつある.人が感じる魅力の理解・予測に深層学習がどのような影響を与えたかについて,動向や研究事例の紹介を行う.
キーワード:感性,主観,産学連携
深層学習(DNNs: Deep Neural Networks)が画像認識コンテストImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge 2012(ILSVRC2012)で圧倒的な性能を見せつけ,学術界・産業界に衝撃を与えてから早くも約10年がたつ.十年一昔とはよく言ったもので,深層学習がこの世にインパクトを与えた瞬間を知らないという人も出てきている.
筆者は普段,画像・映像を中心としたマルチメディア・コンピュータビジョンの研究に携わっている.そこでは,基礎的な機械学習やパターン認識の研究も行っている.一方で,機械学習や画像認識は産業界との距離が比較的近いため,研究成果を単に学術の領域にとどめるのではなく,社会実装も行いたい思いから積極的な産学連携を行ってきた.その一部が「魅力工学」となり,今日に至っている.
本稿では魅力工学の概略と,深層学習やその周辺技術が魅力工学に与えた影響についてまとめてみたい.
現在,「刺さる」「映える」「響く」「バズる」など,共感や共鳴,すなわち人の心に伝える・伝わることが社会的なキーワードになっている.一般的に,ある“ヒト”,“モノ”,“コト”を人に「魅力的だ」と思わせることは,研ぎ澄まされたセンスを持ち,十分な経験と勘を備えた一部のプロのみがなし得ると思われている.我々はそれを「匠の技」と呼ぶこともある.しかし,それを単に勘やセンスの問題と片付けてしまうのはもったいない.
続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。
電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。
電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード