解説 機械学習・数理最適化の無線通信への応用に向けた共有データセット構想

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Vol.105 No.6 (2022/6) 目次へ

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 解説 

機械学習・数理最適化の無線通信への応用に向けた共有データセット構想

Shared Dataset Initiative toward Applications of Machine Learning and Mathematical Optimization for Wireless Communications

丸田一輝 井田悠太 實松 豊 牟田 修 岡田 啓 西村寿彦 岡本英二 眞田幸俊 村田英一 田野 哲

丸田一輝 正員:シニア会員 東京理科大学工学部電気工学科

井田悠太 正員 山口大学大学院創成科学研究科

實松 豊 正員 東京工業大学工学院情報通信系

牟田 修 正員:シニア会員 九州大学日本エジプト科学技術連携センター

岡田 啓 正員:シニア会員 名古屋大学未来材料・システム研究所

西村寿彦 正員:シニア会員 北海道大学大学院情報科学研究院情報科学専攻

岡本英二 正員:フェロー 名古屋工業大学大学院工学研究科工学専攻

眞田幸俊 正員:フェロー 慶應義塾大学理工学部電気情報工学科

村田英一 正員:フェロー 山口大学大学院創成科学研究科

田野 哲 正員:シニア会員 岡山大学学術研究院自然科学学域

Kazuki MARUTA, Senior Member (Faculty of Engineering, Tokyo University of Science, Tokyo, 125-8585 Japan), Yuta IDA, Member (Graduate School of Science and Technology for Innovation, Yamaguchi University, Ube-shi, 755-8611 Japan), Yutaka JITSUMATSU, Member (Department of Information and Communications Engineering, Tokyo Institute of Technology, Tokyo, 152-8550 Japan), Osamu MUTA, Senior Member (Center for Japan-Egypt Cooperation in Science and Technology, Kyushu University, Fukuoka-shi, 819-0395 Japan), Hiraku OKADA, Senior Member (Institute of Materials and Systems for Sustainability, Nagoya University, Nogoya-shi, 464-8603 Japan), Toshihiko NISHIMURA, Senior Member (Graduate School of Information Science and Technology, Hokkaido University, Sapporo-shi, 060-0814 Japan), Eiji OKAMOTO, Fellow (Graduate School of Engineering, Nagoya Institute of Technology, Nagoya-shi, 466-8555 Japan), Yukitoshi SANADA, Fellow (Faculty of Science and Technology, Keio University, Yokohama-shi, 223-8522 Japan), Hidekazu MURATA, Fellow (Graduate School of Sciences and Technology for Innovation, Yamaguchi University, Ube-shi, 755-8611 Japan), and Satoshi DENNO, Senior Member (Graduated School of Natural Science of Technology, Okayama University, Okayama-shi, 700-8530 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.105 No.6 pp.509-515 2022年6月

©電子情報通信学会2022

A bstract

 サイバー空間とフィジカル空間の連携を実現するためには無線通信の更なる高効率大容量化,低遅延化,高信頼化が必要である.無線通信システムの効率化のために機械学習や数理最適化を適用する研究においてはトレーニングに用いるデータセットが重要である.海外の学会ではデータセットを長期保管し公開する取組みが最近始まった.一方,研究目的に適したデータセットが公開されていない場合,広く協力してデータセットを作成する取組みが求められる.本稿は,データセットを協力して作成する取組みと,そのデータセットを利用した研究構想を紹介する.

キーワード:データセット,テストベッド,機械学習,数理最適化,CPS

1.は じ め に

1.1 サイバーフィジカルシステムとデータセット

 普及が進む第5世代移動通信システム(5G)では携帯端末以外のIoT(Internet of Things)端末等との通信を収容できるという点に新しい特徴があり,自動運転・自動工場・テレワーク・監視操作・遠隔医療・教育活用などの,多様な端末形態を生かした様々なユースケースが想定されている.このとき高度化アプリケーション実現のために必要となるものが高い時間・空間分解能におけるフィジカル空間(実空間)とサイバー空間の連携である.

 図1に示すサイバーフィジカルシステム(CPS: Cyber Physical System)では,フィジカル空間の情報を高時間・空間分解能で「①センシング」し,その情報をサイバー空間上で再現することでディジタルツインが構築される.これに機械学習による特徴抽出と制御判断を行った後に,その制御情報を「②アクチュエーション」によりフィジカル空間上の機器へフィードバックすることで,安全安心便利な超スマート社会を構築することができる.このCPSサイクル構築においては,フィジカル空間におけるセンサ,IoT端末数及びデータの増加による①センシングの情報伝送量と,サイバー空間で得られた制御情報を適切にフィジカル空間にフィードバックする②アクチュエーションのための信号の爆発的増加が問題となっている.フィジカル空間の今後の主役は①センシングの高効率化を実現することが可能な,ロボット等の移動するIoT端末である.この移動体の①センシングや②アクチュエーションには有線ではなく無線を用いる必要があるため,CPS実現のために高効率大容量な無線通信を実現することが重要な課題となっている(1)


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