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解説
災害時におけるソーシャルメディアの有効性・非有効性
Effectiveness and Ineffectiveness of Using Social Media in Disasters
A bstract
我が国では,2011年3月に発生した東日本大震災以降に,「災害(災害情報)とソーシャルメディア」に関する議論・活動・研究開発が盛んに行われるようになってきた.本稿では,東日本大震災が発生してから,執筆時点における,「災害(災害対応)におけるSNSの活用」を取り巻く議論・活動・研究開発を概観すること,(1)組織として,(2)被災者として,(3)非被災者としての災害時のSNSとの付き合い方(付き合わない方)について,その在り方を論じる.
キーワード:災害とSNS,メッセージングアプリ,ハッシュタグ,代替手段,デマ
2011年東日本大震災を大きなきっかけにして,国内でも「災害(災害情報)とソーシャルメディア」に関する議論・活動・研究開発が盛んに行われるようになってきた.ソーシャルメディアの中でも特にSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が着目されている.ここでは,東日本大震災発生から10年が経過した中で,「災害(災害対応)におけるSNSの活用」を取り巻く議論・活動・研究開発を振り返り,災害が起きたときに「どうSNSと付き合うのか」「付き合わないのか」を考えてみたい.
2.から,「災害対応にSNSは使える(有効である)という立場」と「災害対応にSNSは使えない(有効でない)という立場」に分けて振り返っていく.なお,以降,節ごとに付しているアルファベットは,末尾の「おわりに」で掲載するまとめ記述中のアルファベットに対応している.
情報通信研究機構(NICT)では,指定するエリアと時間の条件の中から,Twitter情報(日本語による全ての投稿の10%程度)を自動的に災害関連情報だけを抽出して機械的に要約する「災害状況要約システムD-SUMM(ディーサム)」を開発,公開した(1).NICTでは,それ以前に「対災害SNS情報分析システムDISAANA(ディサーナ)」を試験公開していた.DISAANAでは,人工知能技術を活用し,「火災が発生している」「火事が起きている」など,意味的に類似するタイプ(地震,道路やインフラの被害,物資の不足等)ごとに分類したり,指定エリア単位ごとで整理して,地図上にも表示できる仕組みになっている.D-SUMMは,DISAANAの情報の一覧性等を改善したシステムである.
2017年7月に発生した九州北部豪雨においては,広域自治体がD-SUMMを活用した事例が報告されている(2).大分県では,当時,県災害対策本部内に情報収集の人員2名を配置し,D-SUMMを用いてTwitterからの情報をモニタリングしていた.このモニタリングにおいては,日田市の鉄橋流出,大肥川の氾濫による住宅地や農地の浸水を把握したという.
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