小特集 2. ドローン×AIによる電力設備保守業務の効率化

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ドローン活用の今

小特集 2.

ドローン×AIによる電力設備保守業務の効率化

Improving the Efficiency of Electric Power Equipment Maintenance by Drone and AI

追良瀬利也

追良瀬利也 中部電力株式会社本店先端技術応用研究所

Masaya OIRASE, Nonmember (Advanced Research & Innovation Center, Chubu Electric Power Co., Inc., Nagoya-shi, 459-8522 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.105 No.9 pp.1101-1106 2022年9月

©電子情報通信学会2022

Abstract

 近年のドローン技術の発展により,インフラ点検や物流をはじめ,様々な分野でドローンの活用検討が進んでいる.電力分野においても,鉄塔や電柱など広域に広がる電力設備の巡視点検への活用に大幅なメリットが期待できることから,各社検討・開発を進めている状況である.ドローンによる電力設備の巡視点検は,目の前の手動操作のみでも高所作業の省略等により作業の安全性の向上や効率化が期待できるが,目視外飛行,電力設備を撮影する自動飛行技術,及びAI技術を用いた撮影画像からの異常検出技術などの実現により更なる効率化が期待できる.本稿では当該技術の実現に向けた当社の取組みを紹介する.

キーワード:ドローン,電力設備,目視外飛行,自動飛行,AI

1.は じ め に

 近年のドローン技術の進歩は著しく,高精細なカメラを備えた点検用ドローンや数kgの荷物を運搬可能な物流ドローンなどを中心に様々な分野で活用が進んでいる(1).電力業界においては,電柱や鉄塔をはじめとする広域に広がる電力設備の巡視点検に対する検討が多く進められている.現状の巡視点検は主に現地での目視確認により行われており,その中には電柱や鉄塔に実際に昇って実施するものもある.カメラを搭載したドローンを活用することにより,高所からの設備映像を取得でき,点検時間短縮や安全性の向上が期待できる.また,非常災害時においては,進入困難箇所の先にある設備被害状況を把握可能になり,停電の早期復旧につながる.本稿では当社が行っているドローンとAIによる電力設備保守業務の効率化に向けた取組みについて紹介する.

 本稿の章構成としては,2.ではドローンを用いた保守業務の目指す姿と目視外飛行の取組みについて記載する.3.では電力設備を撮影するドローンの自動飛行技術について,4.ではドローンが撮影した画像から異常検出を行う取組みについて記載し,5.では今後の展開について記載する.

2.ドローンを用いた電力設備保守

2.1 目指す姿と課題

 当社では,電力設備保守におけるドローン活用の最終形として,事業場等からの指令により変電所等に置いたドローンを飛行させ,現地の映像を取得する,「自動巡視点検」を目指している(図1).現地作業の必要のない巡視点検時においては現地に出向せず,遠隔地にあるドローンが自動飛行を行い,データのみが送られてくる仕組みである.またこの送られてきた画像からAI技術によって異常検出をすることができれば,更なる効率化が可能となる.


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