解説 時間同期プロジェクタ・カメラシステムによる光伝搬の選択的な獲得とその応用

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Vol.106 No.10 (2023/10) 目次へ

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 解説 

時間同期プロジェクタ・カメラシステムによる光伝搬の選択的な獲得とその応用

Programmable Capture and Analysis of Light Transport by Synchronized Projector-camera System: Theory and Applications

久保尋之

久保尋之 正員 千葉大学大学院工学研究院

Hiroyuki KUBO, Member (Faculty of Engineering, Chiba University, Chiba-shi, 263-8522 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.106 No.10 pp.919-924 2023年10月


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 本稿では,時間同期式プロジェクタ・カメラシステムと呼ばれているレーザ走査式のプロジェクタによる照明とローリングシャッタ方式のカメラによる同期的な撮影手法によって,シーンの光伝搬を選択的に観測する取組みを紹介する.これにより,皮下血管のリアルタイムで鮮明な可視化が可能となり医用画像への応用が期待されるほか,濃霧における路面映像の鮮明化(デフォグ)では荒天時の自動運転への応用や,プロジェクタ映像へのタッチセンシングが可能となるなど,その幅広い応用事例について解説する.

キーワード:プロジェクタ・カメラシステム,ライトトランスポート,皮下血管の可視化,デフォグ,タッチセンシング

1.は じ め に

 シーン中の光の伝搬(ライトトランスポート)は,反射や屈折,表面下散乱や相互反射など様々な要素から構成されており,ライトトランスポートの計測を通じてシーンの様々な性質を推定,可視化することが可能である.

 本稿では,レーザ走査式のプロジェクタによる照明とローリングシャッタ方式のカメラによる同期的な撮影によってシーンの光伝搬を選択的に観測する取組みを紹介する.これにより,直接光や間接光をその伝搬の経路に応じて個別に獲得することが可能なほか,皮下血管の可視化,濃霧における映像の鮮明化など様々な応用事例について解説する.

2.時間同期式プロジェクタ・カメラシステム

 本稿で紹介する技術ではいずれも,次の方式の光源及び撮影装置を用いる.まず,光源はレーザ走査式のプロジェクタを用いる.このプロジェクタは,水平なライン状の照明を内蔵のMEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラーによって上から下まで繰り返しスイープすること(注1)で画角全体に光を照射する(図1(左)).また,撮影装置としてローリングシャッタカメラを用いる.グローバルシャッタ方式のカメラは一度に画角内全体の映像を撮影するのに対し,ローリングシャッタ方式のカメラはある時刻から水平に1行ずつ露光を開始し,上から下までスイープすることで画角内の映像を順次,撮影する(図1(右)).なお,以下ではプロジェクタとカメラはピンホールモデルとみなし,それぞれの画角,及びスイープする速度は等しくなるように調整済み(注2)であるものとする.更に,プロジェクタとカメラの照明及び撮影のタイミングを専用の同期回路によって制御しており,これを本稿では時間同期式プロジェクタ・カメラシステム(1)と呼ぶ.なお,これらのプロジェクタとカメラとはいずれもラインスキャン式にシーンに光を当てる・取り込むという観点で,ちょうど双対の関係になっていることに注目したい.本稿では,この時間同期式プロジェクタ・カメラシステムを用いた一連の研究を紹介する.


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