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――カーボンネガティブを支える超小形・高速応答MEMS熱伝導形ガスセンサ技術――
東芝は,3種類以上含む混合ガスのリアルタイムに濃度計測可能な超小形センシング技術を開発した.
カーボンニュートラルに向けて,工場が排出するCO2の回収や資源化などカーボンネガティブを実現する技術が期待されている.例えば,P2C(Power to Chemicals)やメタネーションなどのCO2資源化技術が検討されている.資源化技術の高効率化に向けて,CO2だけでなくメタン,水素などを含む混合ガスの濃度計測が求められる.従来,混合ガス中のガス濃度計測に用いられていたガスクロマトグラフィーは,そのサイズが大きく,更にリアルタイムなガス濃度計測は困難であった.
同社が開発したMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)熱伝導形ガスセンサの動作原理を図1に示す.指先に乗るチップ上に形成された複数のMEMS熱伝導形ガスセンサは,薄膜のメンブレンが高熱抵抗のばねを介してアンカに支持された構造であり,メンブレンにはマイクロヒータと温度センサが内蔵される.ヒータへの電圧印加により,熱容量の小さいメンブレンのみを高速に局所加熱することができる.温度センサにより測定されたメンブレン温度は,メンブレン周囲のガス熱伝導率に応じて変化するため,ガス濃度の変化を検出することができる.例えば,窒素を基準として,熱伝導率が低いCO2濃度が上昇すると,メンブレン温度は上昇する(図1(a)).しかし,3種以上の混合ガスでは,複数のガス熱伝導率の影響によりガス濃度を計測することができない.そこで,複数の感度の異なるMEMS熱伝導形ガスセンサのセンサデータを処理することで3種以上の混合ガスでもガス濃度計測可能な技術を提案した.
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