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そのとき研究の歴史が動いた――画像認識の発展の歴史を振り返って――
小特集 2.
画像局所特徴SIFTのそのとき
The “Moment” of SIFT, Image Local Feature
Abstract
画像局所特徴量とは,画像内の局所的なパターンや特徴を記述し,画像マッチング・認識等のコンピュータビジョン分野で広く使用されている手法である.本稿では,画像局所特徴量としてSIFTを取り上げ,その特徴量がどのような背景下で生まれ,どのように発展を遂げたのかを振り返ってみたい.深層学習全盛の今の時代において淘汰されつつある局所特徴量に関する研究の変遷を知ることで,特に若手研究者の今後の研究に役に立てれば幸いである.
キーワード:画像局所特徴,SIFT,特徴点マッチング
特徴点マッチングとは,異なる視点から撮影された複数の画像間で,物理的に同一の位置(対応点)を探索する処理であり,物体認識,画像検索,三次元復元などの基礎技術となるため精力的に研究されてきた.特徴点マッチングは,①特徴点の検出,②局所特徴量の記述,③対応点探索,の三つの処理で構成され,それぞれの処理で高速化や高精度化に関する研究が取り組まれてきた.本稿では,画像局所特徴量の変遷において,その礎となった手法であるSIFT(Scale-Invariant Feature Transform)を取り上げ,その特徴量がどのような背景下で生まれたかを述べる.また,SIFTが起点となり,SIFT以降どのように画像局所特徴量の研究が進展したのかを振り返る.
SIFT(Scale-Invariant Feature Transform)(1)は,1999年にDavid Loweにより提案された画像内の局所特徴点を検出しその特徴量を記述する手法である.スケール変化や回転に対して不変性を持ち,照明変化にも頑健であることから,SIFTの登場により制約のない画像間の特徴点のマッチングが可能になった.これにより,画像の対応点検出やパノラマ合成,特定物体認識など,様々な応用と改良が行われた.
異なる視点で撮影された画像の特徴点マッチングには,画像間でどのような変化が生じているかを考える必要がある.画像間に回転のみが生じる場合は,図1に示すようにコーナなどの特徴点を検出する.検出したコーナの方位を用いて回転した画像から特徴量を記述することで,回転変化における特徴点マッチングが可能となる.画像間にスケール変化が生じる場合は,特徴点とその等方性スケール(真円として表現される領域)を求める必要がある.検出したスケールから一定のサイズに変換して特徴量を記述することで,スケール変化が生じた場合でも特徴点マッチングが可能となる.画像間に視点変化により射影変化(用語)が生じる場合は,アフィン領域(非等方性の領域)を求める必要がある.アフィン領域を一定の真円領域に変換してから特徴量を記述することで,射影変化が生じた場合でも特徴点マッチングが可能となる.後者になるにつれ,難しい問題である.
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