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そのとき研究の歴史が動いた――画像認識の発展の歴史を振り返って――
小特集 4.
イメージベーストレンダリングのそのとき
The “Moment” of Image-based Rendering
Abstract
任意視点・任意照明環境における写実的な画像の生成は,コンピュータグラフィックス(CG)とコンピュータビジョン(CV)の学際的な研究課題の一つである.イメージベーストレンダリングは,画像から画像を直接生成することで,写実的な任意視点・任意照明画像の生成を行うものである.本稿では,イメージベーストレンダリング分野の金字塔的な研究として,SIGGRAPH2000で発表されたDebevecらの論文に焦点を当て,その時代背景やその後も含めて,イメージベーストレンダリングのそのときについて考える.
キーワード:イメージベーストモデリング,イメージベーストレンダリング,イメージベーストライティング,ライトステージ
写実的な画像の生成,特に,任意視点から撮影した画像(任意視点画像)や任意照明環境における画像(任意照明画像)の生成は,コンピュータグラフィックス(CG)とコンピュータビジョン(CV)の学際的な研究課題の一つである.本稿の主題であるイメージベーストレンダリング(Image-Based Rendering)は,写実的な画像を生成する方法の一つであり,2000年代後半からのコンピュテーショナルフォトグラフィー(用語)の隆盛や,2020年に発表されたNeRF(Neural Radiance Fields)(1),(用語)の大流行など,今なお活発に研究されている.
本稿では,イメージベーストレンダリング分野の数多くの金字塔的な研究の中から,SIGGRAPH2000で発表されたDebevecらの論文“Acquiring the Reflectance Field of a Human Face”(2)に焦点を当て,その時代背景やその後も含めて,イメージベーストレンダリングのそのときについて考える.この研究は,ライトステージを用いたイメージベーストレンダリングにより任意照明顔画像を生成するものである.その技術は,映画産業への多大な貢献から,2010年にアカデミー賞,いわゆるオスカーのScientific and Engineering Awardを受賞することになる.
CGが三次元世界のモデルから写実的な画像を生成する“順問題”であるのに対して,CVは実写画像から三次元世界のモデルを構築する“逆問題”である(図1).つまり,CGとCVは順問題と逆問題の関係にある.したがって,CV技術で求めた実際の三次元世界のモデルをCG技術の入力として用いることで,写実的な画像の生成が可能になると考えられる.このような背景から,1990年代後半に,CVとCGの学際領域の研究が一気に盛んになった.
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