編集室

　＊　研究開発に関わる仕事をしていると自分の研究内容を説明する資料を作成する機会が多くなると思います．私自身頻繁に資料を作成しますが，いつも資料の色使いに迷います．例えば，一般的にポジティブなメッセージは青色，ネガティブなメッセージは赤色にするべきと言われています．実際に赤色は信号の「止まれ」やスポーツの「レッドカード」など，危険性・緊急性を示すときによく使われる色です．しかし，私自身は赤色に対してネガティブな印象は余りなく，むしろリーダーの色，前向きな色というポジティブな印象の方が強いです．そのため，無意識に赤色をポジティブな意味で使ってしまいます．文法とは違い，色使いは明確なルールがないため，自分の印象と一般的な認識のずれを客観的に判断することが難しいと感じます．そもそも色に対して明確なメッセージ性を感じない方もいらっしゃるので，本来は色に左右されずに分かりやすい資料を作成すべきかもしれません．いずれにせよ，自分とは異なる感性やバックグラウンドを持った不特定多数の他者に対して分かりやすい資料を作ることは非常に難しい作業だと思います．本号では，障がいのある人々の積極的な社会参加，学会への参加を促進することを目的とした論文作成・発表アクセシビリティガイドラインの小特集を掲載しております．多様なバックグラウンドを持った方々と議論するために必要な配慮や段取りなどがまとめられています．本小特集が研究の皆様の研究活動の一助となれば幸いです．