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電子情報通信技術のもたらす社会・個人への影響――倫理綱領改定に向けて――
小特集 1.
良い倫理的意思決定のための倫理綱領
――研究・イノベーションと倫理――
Code of Ethics for Better Ethical Decision Making: Research, Innovation, and Ethics
Abstract
専門職団体の倫理綱領は,その団体成員が重視する価値を社会に宣言し,その専門知を善用することを約束する働きがある.その一方で,成員の専門職としてのアイデンティティの形成や倫理的意思決定(倫理的判断)の支援も期待されている.本稿においては,倫理的判断を支援する倫理ガイドラインを参照し,倫理的判断の基本的枠組み及び,複数の価値の対立があった場合の問題などを解説し,研究・イノベーションの各場面で科学者・エンジニアが良い倫理的判断を行うため,倫理綱領をどのように活用すべきか考察する.
キーワード:倫理綱領,倫理的意思決定,技術者倫理,倫理原則間の対立
倫理綱領(code of ethics, code of conducts)とは,ある専門職やその団体が重視する価値や担う責任について,集団として表明するもので,専門職や専門職団体成員の行動をガイドする指針となることが期待されている(文献(1)Ch.4).
倫理綱領は,専門職や専門職団体成員にどのようなことを期待してよいか,公衆・社会に対して表明する点で,専門職の「社会契約(Social Contract)」であると称されることが少なくない(文献(2)p.169).これは,法律上の契約を意味するわけではなく,専門職としての責任やその重視する価値の宣言を「契約」の名で呼んでいると考えた方がよい.同時に,専門職集団に入門する人々に対しては教育的機能を有する(文献(3)pp.107-111).その意味では,倫理綱領は,専門職としての誇り(4)やアイデンティティを表明する機能と目的を有する.そして,職業上における倫理的判断を支援することが専門職集団の倫理綱領の重要な機能として期待されている.
生物医学を主な分野とする人を対象とする研究においては,第二次世界大戦中の非人道的な人体実験などに対する反省から,原則を中心とする倫理綱領が発展してきた.1979年米国で生まれたベルモントレポートは生物医学及び行動科学研究(心理学など)における研究の倫理原則及び指針を示し,人格の尊重(自律原則)・善行(仁恵・恩恵)・正義の三つの原則を掲げる(5).
情報セキュリティ分野での研究倫理における意思決定支援を行うメンローレポートは,ベルモントレポートの3原則を継承し,この3原則を基に情報セキュリティ研究に関する倫理指針を定めている(注1),(6),(7).
電子情報通信学会倫理綱領は,ベルモントレポートのように明確に依拠する原則を明示しないものの,人類の幸福の増進(生命・財産や権利の侵害防止を含む)をうたう一方,差別・偏見の禁止などの人格の尊重原則,法令遵守,自己啓発の重要性などを取り入れている.2.で示す一つの倫理枠組みに依拠するわけではなく,多数の倫理原則や倫理枠組みを参照する多元主義的内容であると考えられる.
倫理綱領は,研究や業務に関わる具体的状況の下での倫理的判断を支援することが期待されている.工学系学会の倫理綱領の倫理的判断の支援機能としては,一般的にエンジニアは雇用される立場で,組織の命令に従って業務を行っていることから,法的・道徳的に問題がある専門的行動を命令された際に,その命令に抵抗する根拠として倫理綱領が期待されると説明されることがある(文献(1)Ch.4).
しかしながら,それだけではなく,電子情報通信技術者が研究や業務を行う中では,様々な倫理的判断を迫られるので,そのときに役立つことが期待される.研究活動やイノベーション,製品,製品の製造過程などが公衆や被験者・調査対象者に対して危害を加えることにならないか,また,環境に対して負荷をかけないか,一方では,このような判断をしたらクライアントに対する忠実義務を裏切ることにならないか,ソフトウェアのこの機能や通信におけるこのような技術的な介入は同僚や顧客のプライバシー侵害になるのではないか,優れた技術者・研究者としての基準から見ると自分自身の判断は稚拙なのではないか,研究活動におけるこのような行動や判断は同僚研究者・技術者に対する不正とならないか――電子情報通信技術者も,こうした様々な倫理的な問いに直面することになる.電子情報通信学会の倫理綱領は,電子通信技術者が出会うだろう倫理的判断の支援を目指している.
倫理的判断に関する主要な枠組みとしては,例えば,江口(2021)は次の五つを挙げる(8).なお,以下の各枠組みの説明は必ずしも江口(2021)にはよっていない.
(1)帰結主義:
行為の正・不正を,その結果(帰結)から判断する立場.例えば,ある行為が危害をもたらすならば不正であり,幸福を増進するならば正しいとする.
(2)義務論:
動機・意図や判断の根拠などを含む行為そのもので正・不正が決まると考える.つまり結果が良くてもやってはならない行為があると考える.
(3)自然法・自然権思想:
どのような社会でも認めざるを得ない共通の法や権利があるとする考え方.生命・身体の安全や所有権の尊重などがそれら自然法・自然権の候補として考えられる.
(4)四原則アプローチ:
危害を与えない(無危害),幸福を増進する(善行),当人の判断を尊重する(自律の尊重),法の遵守や社会的資源の公正な配分(正義)という四つの原則を組み合わせ,行為の正・不正を判断する.医療倫理で発達したアプローチで,医療倫理以外の文脈に適用するには慎重にせよとの重要な指摘がある一方,考案者は日常生活の多くの場面の判断であるとも述べている(文献(9)pp.46-47).
(5)徳倫理:
その社会で優れた性格とされる人が判断し行うであろう行為が正しい行為である.優れた性格を持ち,良い判断ができる人を育てることを倫理の重要な役割だと考える立場.
専門職団体の倫理綱領に基づく具体的状況での倫理的判断の支援方法には,大きく分けると,相互に排他的ではないトップダウン型アプローチとボトムアップ型アプローチの二つがある(文献(10)pp.467-482).トップダウンとボトムアップの中間的な倫理的判断支援もある.
一つには,比較的抽象度・一般性が高い理念や規範(ルール)を社会に宣言する倫理綱領に加えて,そこで示される理念や規範に従って,より具体性が高い研究倫理指針等を定めることである.上記のベルモントレポートも,米国被検者保護局がこれを現場に適用する倫理ガイドラインとして詳細な「コモンルール」(common rule)(45 CFR part 46, Federal Policy for the Protection of Human Subjects)と呼ばれるガイドラインを定める.このように,専門職の倫理的判断を支援する文書には,階層構造がある(注2).
電子情報通信技術の具体的な研究倫理指針としては,特定不正行為(ねつ造・改ざん・盗用)の禁止だけでなく,様々な形で人を対象とする研究の範囲が広がっているので,今後特に人を対象とする研究の倫理指針やガイドが求められる.ただし,医学生物学研究や心理学研究において行われる,研究に関する説明とコミュニケーションを事前に十分に行った上で,書面による同意を厳格に求めるインフォームドコンセントは,オンラインも含め参与観察などの質的社会調査には向かない場合がある(11),(注3).工学分野における人を対象とする研究は多様であるから,多様な性格を有する研究に適用できる倫理指針の形成が望まれる.
現在の研究倫理支援体制では,研究計画またはその研究倫理審査の段階で倫理的な瑕疵がないかチェックボックス方式で判定する倫理ガイドが整備され,重宝されている.これは研究の副作用として意図せざる被験者や公衆などに対する危害を防ぐため,極めて重要である.倫理的判断の支援という観点では,アカウンタビリティ(何かことが起こったとき原因や経緯,対処方針等を説明する責任,更に自分自身の説明に対して虚偽であった場合などに負うべき責任)や,研究の各段階(データ収集を含む調査・実験,データの分析・解釈,研究成果の公表,データの保存など)の倫理的問題への対応のため,今後3.3で示す折衷型アプローチの導入が期待される.
第2に,原理ではなく,具体的な倫理的判断の場面に着目するボトムアップ型アプローチがある.これは,倫理事例集等が典型的な例である.
哲学者Toulmin(1981)は,生命倫理審査における杓子定規な原則の適用を批判し,具体的事例に即して,様々な要素を勘案した上で衡平(equity)の精神に基づき倫理審査と倫理的判断を行う重要性を指摘した(15).彼がモデルにしたのは,キリスト教で教会の助司祭や平信徒が日常生活における倫理的判断を行う際に見本例を提供するCasuistryである.Casuistryは日本では慣例的に「決疑論」と訳され,具体的状況における道徳的・倫理的判断の見本を提供する事例や解説を指す(注4).同時に,倫理的判断は原則への一般化は難しいという含意もある.そのため,決疑論の見本例を離れると恣意的な判断を許す余地もあると批判される.現在では,上記の倫理事例集は事例と倫理原則との関わりを無視せず,各事例と倫理原則とを関係付ける,次の折衷型アプローチを取ることが多い.
トップダウン型アプローチは原理の機械的適用に陥る懸念がある一方,事例集は典型的事例から外れる状況に陥った際に判断の手掛かりを失ってしまうなどの懸念が指摘される(文献(10)pp.483-487).これらの折衷とも言えるアプローチがある.
倫理指針・原則と事例とをつなぐアプローチが折衷型アプローチの例の一つである.電子情報通信学会が編纂した倫理事例集(版)(https://www.ieice.org/jpn_r/about/rinrikoryo/code5.html)や,電気学会の2冊の「技術者倫理事例集」(19),(20)は,電子情報通信技術者や電気技術者が尊重し遵守すべき一般的な倫理指針と規範を示す倫理綱領の解説の形式をとる.つまり,これらの事例集は倫理綱領で示された原理・規範と具体的事例を結ぶもので(注5),会員や電子情報通信技術者が倫理綱領や自らの経験などに照らしながら,倫理的判断について考察することを期待する.事例とその事例を話題とするディスカッション課題を示すことで,大学・大学院教育や職場の研修などにおいて,議論を通じて自らの倫理的判断について自分のことばで説明できるようになることを目指している.2022年9月現在倫理綱領の再改定に合わせて(2023年改定倫理綱領公表予定),上記の倫理綱領の拡充とアップデートが,辰己丈夫放送大学教授及び小川賢神戸学院大学教授を中心に進められている.
一方,倫理的判断枠組みや原理を示した上で,それらの倫理的判断枠組みや原理に加え,ステークホルダーの多様な倫理的期待に配慮し,研究の各段階において,倫理的課題がないか研究者が自らやチームで問い,問題・課題があれば対応を図るという「質問中心型アプローチ」(question-oriented approach)も提案されている(12)~(14),(21).
Association of Internet Researchersの倫理ガイドライン(IRE Guidelines: Internet Research Guidelines)は,多文化環境を前提として,複数の倫理的枠組みや倫理原則を組み合わせて判断する倫理的多元主義を主張するものの(この点は本会倫理綱領と共通),倫理的多元主義には倫理的相対主義(何が正しく何が不正かは文化や社会によって決まり,いかなる不正な法や慣習も倫理によって批判・改定すべきでないという考え方)にいかに陥らないかの課題がある.
倫理綱領の前文や条文に示された原理やルール,前文や条文にはないものの,私たちの社会で重要な倫理原則や価値が相互に矛盾するように見える場合,どのように倫理的判断を行えばよいだろうか.事例集を見ても,当てはまる事例がなくて判断に迷うかもしれない.電子情報通信学会倫理綱領は,2023年改定では価値や規範が衝突するトレードオフや「ジレンマ」が生じ得ることを指摘し,その均衡を図るよう求めている.倫理学では,倫理原則や規範の衝突した場合の意思決定の方法として次のものなどが示されている(文献(22)pp.61-65)(注6).
(1)より基本的な価値の優先
人を対象とする研究においては,一般的に,治療のように,研究対象となる当人に対して直接の利益がない.そのため,社会的利益(研究の成果によって得られる社会の効用.善行・恩恵)が相当大きいとしても,本人の研究参加意思(自律)や研究対象者に対するリスクの低減(善行・恩恵)を優先する(より基本的な価値とみなす)原則がある.これは,本人の意思を無視した悲惨な人体実験に対する反省によるものである.
(2)功利計算(文献(25)pp.92-100)
功利主義(帰結主義の一種)においては,社会の不幸(危害や苦痛)を最小化し幸福を最大化することを求める.功利計算は,ある行為がもたらす危害や苦痛を積算し,社会にもたらされる幸福の加算量と比較して,後者が十分に大きければ,その行為はなされるべきとする.この規則だけでは特定の少数者に不幸のしわ寄せがいくことを容認しかねないとも批判される.しかし,長期的な幸福・不幸を功利計算に含めれば,この不幸のしわ寄せは功利主義の下でも許されないとも考えられる.例えば,特定の少数者への危害や苦痛を容認して(電子情報通信技術の場合,差別やプライバシー侵害などの問題もある)科学技術が進歩しても,長期的に見れば科学技術不信を招き結果として社会全体の幸福が減少するので,研究は計画を変更すべきであるという意思決定も可能である.
(3)横からの制約(side-constraints)(文献(26)pp.41-84)
計画中の電子情報通信技術に関する研究において基本的人権の侵害があり得る場合には,侵害がないよう研究計画を変更する.基本的人権の侵害の防止という制約は,研究も含め私たちの行為に常に働き,このような制約を横からの制約(附随制約)という.
(4)一見自明義務(prima facie duty)(27),(注7)
一般的に,人を対象とする研究においては,本人の研究参加意思(自律)を尊重し,事前に十分に説明をし,納得を得た上で書面による同意を得ることを義務付ける.しかし,研究対象者の社会に入り込んで行うフィールドワーク調査では,研究対象者やその家族・知人らと信頼関係を構築するため,事前に書面による同意を求めることがふさわしくない場合がある.書面同意を求める行為を自分に対する不信の表れと受け取る文化もあるからだ(29).研究の目的や方法について口頭で説明した上で調査を進め,調査報告などにおいて調査場所等を伏せ,研究対象者の身元を隠すなどして,研究対象者のプライバシー保護を図った方がよいかもしれない(文献(30)p.172).この研究者は,書面による同意原則と研究による学術的・社会的利益,研究成果の公表によるプライバシー侵害の危害などを熟慮し,書面による調査参加の同意の原則は通常は遵守することが一見したところは重要だが,ほかの事情によっては変更できる原則として扱ったこととなる.このとき書面による同意の義務は「一見自明の義務」とされる.
(5)「詳述化」(Specification)(31)
「詳述化」というジレンマ解決の手法は,規範や倫理原則は例外を設けたり,状況を限定する条件を設けたりすることで改定可能と考える.「一見自明義務」は,具体的状況を熟慮した上でほかの義務や原則を優先するが,ここではジレンマに陥った倫理原則の例外を明示したり,ルールを明示的に変更したりする.上記の(4)の例の場合には,例えば,次のようにルールを変更できるだろう.「十分に学術的・社会的価値があるフィールドワーク調査においては,事前書面同意以外の仕方で,研究のいずれかの段階で誠実なコミュニケーションの上で同意を取得し,必要があれば,研究成果公表にあたって,調査地や調査者の適切な仮名化等を行って,研究対象者のプライバシーを保護し,予想される危害を防止する」.このような倫理的判断にあたっては,倫理原則と具体的な状況を見比べて倫理原則・規範を変更したら,その倫理原則・規範を具体的状況に仮説的に適用して熟慮し,倫理原則と倫理的判断の均衡状態に達するまでこれを繰り返す「反照的均衡」(文献(32)pp.68-71;文献(33)pp.180-193)が必要とされる.上記の「均衡状態」には一定条件を満たす整合性が必要とされる(文献(9)pp.99-100).
倫理綱領に示される原則や条文を機械的に目の前の状況に当てはめるだけで,その原則を適用する根拠を考えない場合,良い倫理的判断はできない.倫理原則や規範,その他の要素の間のジレンマに陥っている場合,誰からも批判を浴びない倫理的判断は困難であることが多い.しかし,意思決定を行わなくてはならない場合は,様々な要素を考慮し,熟慮した上で,上記のような倫理原則・規範の改定ができるか検討して,責任を持って意思決定を行い,その後説明を尽くすこととなる(注8).
(1) S.H. Unger, Controlling Technology: Ethics and The Responsible Engineer, 3rd ed. (電子書籍), 2017.
(2) D.G. Johnson, Computer Ethics, 4th ed., Prentice Hall, 2008.
(3) 札野 順,新しい時代の技術者倫理,放送大学教育振興会,2015.
(4) 黒田光太郎,戸田山和久,伊勢田哲治,誇り高い技術者になろう―工学倫理ノススメ(第2版),名古屋大学出版会,愛知,2012.
(5) National Commission for the Protection of Human Subjects of Biomedical and Behavioral Research, “Ethical Principles and Guidelines for the Protection of Human Subjects of Research,” Department of Health, Education, and Welfare, 1979. =“研究対象者保護のための倫理原則および指針,”笹栗俊之(訳),福岡臨床研究倫理審査委員会ネットワーク.
(6) Department of Homeland Security, “The Menlo report: Ethical principles and guiding information and communication technology research,” Department of Homeland Security, Aug. 2012.
(7) 吉岡克成,“最新事例と共に考えるサイバーセキュリティ研究倫理,”2017.
https://www.iwsec.org/mws/2017/20171108/01_yoshioka.pdf
(8) 江口 聡,“倫理とは何だろうか,”改訂新版 情報倫理入門,土屋 俊(監修),pp.17-29,アイ・ケイコーポレーション,東京,2021.
(9) T.L. Beauchamp,“生命医学倫理のフロンティア,”立木教夫,永安幸正(監訳),行人社,東京,1999.
(10) T.L. Beauchamp and J.F. Childress, Principles of Biomedical Ethics, 5th ed., Oxford University Press, 2001. =生命医学倫理 第5版,立木教夫,足立智孝(監訳),麗澤大学出版会,千葉,2009.
(11) K. Tiinderberg, “Research ethics, vulnerability, and trust on the internet,” in Second International Handbook of Internet Research, J. Hunsinger, M.M. Allen, and L. Klastrup, eds., pp.569-583, Springer, 2020.
(12) C. Ess and the AoIR ethics working committee, “Ethical decision-making and internet research: Recommendations from the AoIR ethics working committee,” AoIR, 2002.
(13) A. Markham and E. Buchanan, “Ethical decision-making and internet research: recommendations from the AoIR ethics committee approved by the ethics working committee (Version 2.0),” AoIR, 2012.
(14) A.S. franzke, A. Bechmann, M. Zimmer, and C.M. Ess, “Internet research: Ethical guidelines 3.0 association of internet researchers unanimously approved by the AoIR membership October 6, 2019,” AoIR, 2020.
(15) S. Toulmin, “The tyranny of principles,” The Hastings Center Report, vol.11, no.6, pp.31-39, 1981.
(16) 吉満昭宏,大城信哉,“決疑論は方法か態度か,”Nagoya Journal of Philosophy, vol.15, pp.33-47, DOI: 10.18999/nagjp.15.33, 2021.
(17) 服部健司,“臨床倫理学におけるカズイストリの可能性,”生命倫理,vol.21, no.1, pp.52-60, 2011.
(18) 岡本珠代,“現代カズイストリーの問題点,”医学哲学医学倫理,vol.16, pp.35-45, 1998.
(19) 電気学会倫理委員会,技術者倫理事例集,電気学会,2010.
(20) 電気学会倫理委員会,技術者倫理事例集(第2集),電気学会,2014.
(21) 大谷卓史,大澤博隆,壁谷彰慶,神崎宣次,久木田水生,西條玲奈,“意思決定支援としての研究倫理―AoIR倫理ガイドラインの原則と倫理分析―,”信学技報,ISEC2021-39, SITE2021-33, BioX2021-40, HWS2021-39, ICSS2021-44, EMM2021-44, pp.182-189, July 2021.
(22) P. Jansen, W. Reijers, D. Douglas, F. Sattarov, A. Gurzawska, A. Kapeller, P. Brey, R. Benčin, Z. Warso, and R. Braun, “A reasoned proposal for shared approaches to ethics assessment in the European context,” SATORI project, 2017.
(23) M. Davis,” Professional ethics without moral theory: A practical guide for the perplexed non-philosopher,” Journal of Applied Ethics and Philosophy, vol.6, pp.1-9, DOI: 10.14943/jaep.6.1, 2014. =“道徳理論抜きの専門職倫理教育―非哲学者が問題にぶつかったときの役立つ手引きとして,”池田 誠(訳),応用倫理,vol.8, pp.29-41,2014.
(24) 眞嶋俊造“今,なぜ研究倫理なのか,”人文・社会科学のための研究倫理ガイドブック,眞嶋俊造,奥田太郎,河野哲也(編著),pp.1-26,慶応義塾大学出版会,東京,2015.
(25) 児玉 聡,功利主義入門――はじめての倫理学,筑摩書房,東京,2012.
(26) R. Nozick, Anarchy, State, and Utopia, Basic Books, 1974. =アナーキー・国家・ユートピア国家の正当性とその限界,島津 格(訳),木鐸社,東京,2006.
(27) A. Skelton, “William David Ross,” Stanford Encyclopedia of Philosophy, 2022.
https://plato.stanford.edu/entries/william-david-ross/
(28) W.D. Ross, The Right and the Good, Oxford University Press, 1930.
(29) ライフストーリー・インタビュー:質的研究入門,櫻井 厚,小林多寿子(編著),せりか書房,東京,2005.
(30) 藤本加代,“アメリカ合衆国における「IRB制度」の構造的特徴と問題点:日本の社会科学研究における研究対象者保護制度の構築に向けて,”先端社会研究,vol.6, pp.165-188, 2007.
(31) H.S. Richardson, “Specifying norms as a way to resolve concrete ethical problems,” Philosophy & Public Affairs, vol.19, no.4 (Autumn 1990), pp.279-310, 1990.
(32) 川本隆史,ロールズ 正義の原理,講談社,東京,1999.
(33) J. Rawls, A Theory of Justice, Harvard University Press, 1999. =正義論,川本隆史,福間 聡,神島裕子(訳),紀伊國屋書店,東京,2010.
(2022年9月29日受付 2022年10月31日最終受付)
大谷 卓史(正員)
1993千葉大大学院文学研究科修士課程了.吉備国際大・准教授.情報倫理学・科学技術史を主に研究.2017情報倫理:技術・プライバシー・著作権で第33回テレコム社会科学賞奨励賞受賞.
大澤 博隆
慶大・理工・管理・准教授/筑波大システム情報系客員准教授,HAI研主宰者.共著「SFプロトタイピング:SFからイノベーションを生み出す新戦略」など.人工知能学会,情報処理学会,日本認知科学会,ACM等会員,日本SF作家クラブ第21代会長.博士(工学).
壁谷 彰慶
1999千葉大・文卒.2007同大学院博士課程了.2008同博士(文学).東洋英和女学院大・非常勤講師.専門は哲学・倫理学・情報倫理学.共著に「英語で読む哲学」,共訳書に「人間にとって善とは何か」など.
川口 嘉奈子
2011千葉大大学院自然科学研究科(情報科学)単位取得退学.博士(学術).現在,聖路加国際大学術情報センター所属.研究分野は情報倫理学(プライバシー保護),信念論理.著書「情報倫理入門」(共著).
川口 由起子
2004千葉大大学院博士満期退学,日本学術振興会特別研究員(PD).博士(学術).非字義的意味理解とコミュニケーション,嗜癖と人間関係の応用哲学的研究に従事.現在,植草学園大・教授.
神崎 宣次
2008京大から博士(文学)取得.南山大・国際教養・教授.人工知能,都市などの倫理問題の研究を行っている.共著「ロボットからの倫理学入門」,「宇宙倫理学」など.
久木田 水生
本小特集6(p.206)を参照.
杉本 俊介
2015京大大学院博士課程了.専門は倫理学.現在,慶大・准教授.博士(文学).2022年度日本経営倫理学会第2回水谷雅一賞(論文・ジャーナル部門優秀賞)受賞.著書「なぜ道徳的であるべきか――Why be moral? 問題の再検討」など.
(注1) 情報セキュリティ・サイバーセキュリティ分野における研究倫理とその体制整備は,横浜国立大学吉岡克成教授らの活動によって急速に国内で進んだ.「マルウェア対策研究人材育成ワークショップ」の活動記録を参照(http://www.iwsec.org/mws/ethics.html).
(注2) 例えば,社会科学分野の学会であるが,日本社会学会では,社会学の研究・教育及び学会運営にあたって依拠すべき基本原則として「日本社会学会倫理綱領」を定め,この綱領に基づいて,「一般社団法人日本社会学会倫理委員会規定」と,「日本社会学会倫理綱領にもとづく研究指針」,「ハラスメント処分を受けた会員に対する要請」を定めている.同学会の学会案内(https://jss-sociology.org/about/)を参照のこと.
(注5) 本会の倫理事例集(版)の「表1 事例と電子情報通信学会倫理綱領との対照表」の作成にあたっては,特に,事例集小委員会委員長吉開範章明治大学特任教授及び高橋寛幸NTTコンピュータ&データサイエンス研究所主任研究員,宮田純子芝浦工業大学准教授に御尽力を頂いた.
(注8) 情報処理学会倫理綱領(https://www.ipsj.or.jp/ipsjcode.html)も参照.
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