特集 非地上系ネットワークの将来 特集編集にあたって

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Vol.106 No.5 (2023/5) 目次へ

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特集
非地上系ネットワークの将来

特集編集にあたって

編集チームリーダー 服部恭太

 現在,第6世代移動通信システム(6G)の実現に向けた検討が各機関において進められている.6Gでは,第5世代移動通信システム(5G)の特徴である「高速大容量」「低遅延」「多数同時接続」の高度化に加えて,様々な観点での技術革新が期待される.その一つとして「超カバレージ拡張」が考えられている.

 超カバレージ拡張では,LTEや5Gなどの従来の移動通信システムではカバーできなかった“宇宙・空・海”といった空間がエリア化され,あらゆる場所とのつながりが提供可能となる.この実現には,非地上系ネットワーク(NTN: Non-Terrestrial Network)技術の進化が重要となる.

 NTNにより,衛星通信をはじめ,High Altitude Platform Station(HAPS)と呼ばれる高高度通信プラットホームやドローン,船舶など,“宇宙・空・海”をシームレスにつなぐ高度な情報通信ネットワークの実現が期待される.本特集号では,6Gの実現に向けて,NTNを支える“宇宙・空・海”の各領域におけるカバレージ拡大に向けた最新技術動向について紹介する.

 まず第1章では,NTNを支える各技術領域の動向とその検討課題を俯瞰的に示すとともに,標準化動向について紹介する.辻󠄀 宏之氏らから超スマート社会におけるNTNを活用したネットワークの将来像や課題について紹介頂く.次に,西尾昭彦氏らから3GPPにおけるNTN標準化動向について紹介頂く.

 次に第2章では,宇宙/衛星通信に着目し,日本政府としての技術戦略,個別技術の検討状況を紹介する.松田圭太氏から,政府における宇宙開発利用の政策や動向をはじめ,総務省で担当している技術試験衛星や衛星量子暗号通信の研究開発状況について紹介頂く.次に,山下史洋氏らから宇宙で発生するデータを宇宙で処理・分析を完結可能とする宇宙通信・コンピューティングの統合インフラの検討状況について,高橋 幹氏らから衛星を含めた宇宙での通信実現に向けた技術動向について紹介頂く.また,瀬戸口喜幸氏らから衛星回線と日欧間地上回線を含む長距離伝送の実証状況について紹介頂く.

 第3章では,航空通信/HAPSに着目し,個別技術の検討状況を紹介する.大倉拓也氏らから航空機への搭載性を損なわず,広範囲のビーム走査を可能とする航空機搭載用の薄形電子走査アレーアンテナの研究開発状況について,金田直樹氏らから通信量の増加に対応する次世代航空通信実現に向けた,空港用航空移動通信システムについて紹介する.また,岸山祥久氏らからHAPS実用化に向けた取組みとして,ユースケース,ネットワーク構成,実証実験の取組みについて紹介頂く.

 第4章では,海中無線/水中無線に着目し,個別技術の検討状況を紹介する.福本浩之氏らから海中音響通信におけるインパルス性雑音による受信性能劣化を軽減するための信号処理技術について紹介頂く.久保博嗣氏から水中音響通信における高速大容量化を目指した差動マルチキャリヤ伝送方式について紹介頂く.また,石橋正二郎氏から海中における高速光ワイヤレス通信技術の動向と今後の展望について紹介頂く.

 最後に,多忙な中,執筆に御尽力頂いた執筆者の皆様に感謝致します.また,特集編集チームの皆様には執筆候補者の提案・調整など御協力を頂きました.この場をお借りし,深く感謝致します.

特集編集チーム

 服部 恭太  吉井 一駿  西村 寿彦  朝倉 慎悟  伊神 皓生  岩井 誠人  梅田 周作  大鐘 武雄  影井 敬義  今野 佳祐  澤田 政宏  筒井 正文  豊見本和馬  羽賀  望  備海 正嗣  丸田 一輝  水野 頌子  村上 友規  村中 延之 


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