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衛星通信は,これまで地上のネットワークではカバーできない海上,山間部,島しょ部などの利用に限られていたが,近年は衛星コンステレーションによる衛星通信サービスが始まっており,スマートフォンと低軌道衛星の直接通信など,地上網と衛星通信網の連携が進んでいる.また,地球上だけではなく,深宇宙,特に衛星を活用した月面通信の実現への取組みも進められている.本稿では,衛星通信事業者と携帯電話事業者の連携に関する動向や,月面でのインターネット利用を実現するための課題について,紹介する.
キーワード:衛星通信,コンステレーション,月面通信,深宇宙
衛星通信が登場する前,海を越えての国際電気通信は1851年に初めて英仏間の海底電信ケーブルが敷設されたときから始まり,その後長波・短波通信が主流の時代が続いた.衛星通信の構想が発案されたのは,1945年のことである.アーサー・C・クラークがWireless World誌にて,地上3万5,800km上空に静止衛星3機を等間隔に配置すれば,極域を除く全世界をカバーする衛星通信が実現できることを示唆した.1957年には世界初の人工衛星であるソ連のスプートニク1号の打上げが成功し,1960年に米国で初の通信衛星としてエコー1号による実験が行われた.日本では,1963年にKDD茨城宇宙通信実験所にて,リレー1号による初の太平洋横断のテレビ衛星中継が行われた.その際には,衛星を通してケネディ大統領の暗殺が日本に報じられた.
そして,国際間の固定衛星通信のため,日本を含む11か国が参加する国際機関としてINTELSATが1964年に発足した.翌年,大西洋上のアーリーバード衛星を用いた初の商用衛星通信が実現した.日本では,INTELSATのインド洋上の衛星との通信のため,1969年にKDD山口衛星通信所が開設された(図1,現KDDI山口技術保守センター(1)).2001年の民営化を経て,現在も南極昭和基地や米欧,アフリカ,アジアなどとの衛星通信サービスや映像伝送サービスに活用されている.
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