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国立研究開発法人情報通信研究機構の委託研究事業として令和2年から開始した「Beyond 5Gにおける衛星―地上統合技術の研究開発」において,令和3年に衛星―5G統合技術開発のためのテストベッド,KuバンドVSAT(Very Small Aperture Terminal)システム及びスカパーJSAT社保有のKuバンド衛星とを接続した衛星・地上系の異種ネットワーク間の接続環境を構築し,衛星―5G連携の実証試験を行った.本稿では,衛星回線と日欧間地上回線を含む長距離伝送による遅延等の影響下において,実施した試験の概要及び評価結果を紹介する.
キーワード:静止衛星,Beyond 5G,非地上系ネットワーク,NTN,VSAT,日欧共同実験
Beyond 5G時代においては,NTN(Non-terrestrial Network)により,サービスカバレージの拡張が期待されている.また宇宙空間の利用が大幅に拡大し衛星はBeyond 5Gのネットワークの重要なコンポーネントになると考えられる.衛星通信及びNTNへ拡張するためには,SDN/NFV(Software Defined Networking/Network Function Virtualization),ネットワークスライシング,ネットワーク管理,エッジコンピューティング等の地上系5Gの技術を衛星に連携させる必要がある.
NTN実現に向けて,スカパーJSAT株式会社(以下,スカパーJSAT)は,代表研究者である日本無線株式会社(以下,JRC),及び国立大学法人東京大学大学院情報学環中尾研究室(以下,東京大学)とともに,国立研究開発法人情報通信研究機構(以下,NICT)の設定した委託研究課題「Beyond 5Gにおける衛星―地上統合技術の研究開発」(以下,本研究開発)の研究開発を進めている(1).またNICTのBeyond 5G研究開発促進事業の委託研究課題「NTNノードのネットワーク化技術開発とカバレッジ拡張ユースケースのシステム開発・実証」についても研究開発を進めている(2).
本研究開発には,日欧共同トライアルによる研究開発があり,欧州宇宙機関(ESA: European Space Agency)により開発された衛星―5G統合技術開発のためのテストベッド,KuバンドVSAT(Very Small Aperture Terminal)システム及びスカパーJSAT保有のKuバンド衛星を接続した衛星・地上系の異種ネットワーク間の接続環境を構築し,衛星―5G連携運用に関する有効性の確認を目的として,実証を進めている(3).
本稿では,研究開発課題の一つとして令和3年度に実施した日欧共同実験について概要を紹介する.
従来独立であった衛星・地上系の異種ネットワーク間のシームレス接続の技術検証と,衛星―5G連携運用に関する有効性や課題を確認することを目的とし,ESAと日欧共同実験を実施した.実験に際し,SDN/NFV,ネットワークスライシング及びネットワークの統合管理に関する欧州側の技術の情報を効率的に収集した.更に国内のユースケースを考慮した実証実験を行った.
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