最優秀論文賞贈呈

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Vol.106 No.7 (2023/7) 目次へ

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2021年度 第5回 最優秀論文賞贈呈(写真:敬称略)

 本会選奨規程第17条による最優秀論文賞(第5回)は,下記の論文を選定して贈呈した.

NLOS環境における複数UAVを用いた単一波源位置の最ゆう推定手法

(和文論文誌B 2022年3月号掲載)

受賞者 村田真一 受賞者 松田崇弘 受賞者 西森健太郎

 波源推定技術は,無線信号の発信源の位置を推定する技術であり,多くの無線通信システムで重要である.例えば,周波数資源を有効利用するため異なる無線通信システム間で周波数帯域を共用する周波数共用技術では,周波数帯域が使用されていない空間・時間を検出するために波源推定技術が有効である.また,多くの無線通信システムは総務省から免許の交付を受けた上で運用されるが,実際には免許の交付を受けずに運用されている不法無線局が存在する.これらの不法無線局は,電波監理の観点から取り締まる必要があり,そのために波源推定技術は必要である.

 本論文では,無人飛行機(UAV: Unmanned-Aerial-Vehicle)を用いて波源推定を行う方法について検討している.UAVにはアレーアンテナが実装されており,アンテナ信号処理により信号の到来方向(DOA: Direction-Of-Arrival)を観測する.波源とUAVの間が見通し内(LOS: Line-Of-Sight)伝搬路である場合には,異なる場所に配置された複数のUAVにおいて,波源から届く直接波の方向より波源の位置を推定することができる.しかし,都市環境では多くの場合,見通し外(NLOS: Non-Line-Of-Sight)伝搬路となることが多く,その場合には上記のようなDOAから波源の位置を直接求めることは困難である.本論文では,NLOS環境における波源推定手法を提案し,その有効性をシミュレーション実験により明らかにしている.提案手法では,波源とUAV間の距離に応じてUAVで観測される到来方向の分散が異なるという性質を利用し,最ゆう推定により波源の位置を推定する.本論文の提案手法は,最ゆう推定という比較的基本的な手法に基づいているが,無線伝搬路の性質をうまく利用することにより,NLOS環境での波源推定を可能としており,今後この考えを応用した様々な技術への発展も期待される.以上から,本論文は最優秀論文賞に値する論文として高く評価できる.

区切


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