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Vol.106 No.8 (2023/8) 目次へ

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 * 人間にとって「面白い」ことをAIは理解できるのか?と考えたりします.人間にとっての快・不快などは感情分析AIや昨今の生成AIでも部分的には理解していると思えることもありますが,萌芽的な技術やサービスを見たとき「面白そう」と思う感覚は,少し特殊な感覚にも思えます.少なくとも,AIを学習させるときそういう感覚を教師データとして明示的に与えることは余りないように思います.

 * メタバースは,今正に多くの人が「面白そう」と直感し,盛り上がっている状況かと思います.盛り上がるサービスがある反面,飽きられてしまうサービスもあります.この「面白そう」「飽きる」といった感性的な部分が,技術,サービスのすう勢を決めているように思えるのは非常に興味深いことです.

 * 昨年ガートナージャパン株式会社が発表したハイプ・サイクル(日本における未来志向型インフラ・テクノロジのハイプ・サイクル:2022年)では,メタバースは正にハイプ,過度な期待のピークにあることが示されていました.これから見ると,メタバースは多くの期待を集める一方,現実的な難しさも見えつつある状況かと思います.

 * インターネットの世界がブレークし始めたとき,面白い世界が広がっていくことを予見し,技術革新をリードした先人が数多くいました.メタバースも同じような立ち上がりを見せているように感じます.この勢いを加速させ,「面白そう」を維持し「飽き」させないプラットホームへと進化させていくか,「面白い」だけでなく社会インフラの一つとして根付いていくのか,また,それを人間が主導するか,人間とAIがそれぞれ強みを出していくか,現在進行形の状況を肌で感じながら関わっていけたら,と今回の小特集「接近するバーチャルとリアル――メタバース・ディジタルツインの現在と未来――」の編集に関わりながら思いました.本会でも技術分野として関わる方も多いかと思いますので,是非この盛り上がりを一緒に楽しめたらと思いました.

(編集特別幹事 黒川茂莉) 


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