小特集 1. ライダ,カメラを用いた三次元復元技術

電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
Vol.107 No.10 (2024/10) 目次へ

前の記事へ次の記事へ


3Dキャプチャ技術の進化と展望

小特集 1.

ライダ,カメラを用いた三次元復元技術

3D Reconstruction Using LiDAR and Camera

石川涼一

石川涼一 東京大学生産技術研究所

Ryoichi ISHIKAWA, Nonmember (Institute of Industrial Science, The University of Tokyo, Tokyo, 153-8505 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.107 No.10 pp.926-930 2024年10月

©2024 電子情報通信学会

Abstract

 ライダやカメラによる実物体の三次元形状復元は長きにわたり研究されてきており,測量の場面などで既に実用化が十分に進み成熟した分野である.車載などの移動体搭載ライダにおいては,移動経路に沿って測定点群を並べることで三次元形状復元が可能となる.この際の移動経路推定をカメラとライダの組合せによって行うことで,より高品質な三次元復元を達成しようとする研究も盛んになってきている.本稿ではカメラやライダ,及びそれらを組み合わせた三次元復元手法や関連技術について解説する.

キーワード:カメラ,ライダ,三次元形状復元,センサ融合

1.は じ め に

 実物体のカメラやライダ(用語)による三次元形状復元(用語)は長きにわたり研究され成熟してきた分野である.カメラによる撮影を複数の地点から行い対象物の三次元形状を復元するフォトグラメトリは,アルゴリズム,ハードウェアの発展に伴い有償,無償様々なソフトウェアで手軽に実行できるようになった.こうした三次元形状復元は文化財の保存,復元や,地形測量,拡張現実との連携など様々な場面で利活用できる.近年隆盛を見せているNeural Radiance Field(NeRF)(1)と呼ばれる技術は,三次元座標を入力するとその点の色などを出力するニューラルネットワークを,複数のカメラ画像を用いて学習する.このNeRFにおいても,カメラ位置姿勢の計算には,研究用に開発されたフォトグラメトリソフトウェアのColMap(2)など,既存手法が使われている.

 ライダ(LiDAR)はLight Detection and Rangingの略で,対象物に対してレーザを照射し,検出した反射光を測定することで対象物までの距離を得る方式やセンサを指し,照射方向を変えることで環境の三次元形状を測定することができる.ライダという単語自体は,iPhoneに深度カメラが搭載されるようになってから,より一般に浸透してきている.データ取得形式は大きく分けて二つあり,一つは,単一ないしは複数のレーザユニットを持ち,ユニット一つが一度に一回測定する形式,もう一つはカメラと同様,画素それぞれにおいて深度を測定する形式である.研究分野ではライダの呼称ではもっぱら前者を指し,後者についてはRGB画像とともに用いられることも多いためRGB-Dカメラ(Dは深度を指す)という呼称で扱われることが多い.本稿でも前者をライダ,後者をRGB-Dカメラと呼称し,前者の形式のライダにフォーカスを当てる.

 車載などの移動体にライダを搭載して形状復元を行う場合,そのモーションを推定することが重要である.ライダから得られる点群はセンサ座標系のものになるが,これを推定したモーションに沿って配置することで三次元モデルを復元することができる.このモーション推定を行う方法の一つに,カメラを同時に用いるライダ―カメラ融合がある.カメラ画像と,ライダから得られる点群の処理を組み合わせることで,より高精度な位置姿勢推定を行うことができる.また,RGB画像のテクスチャリングや,疎なライダの点群の補間も可能となる.

 本稿では,カメラ,ライダ,及びその組合せによる三次元復元技術にフォーカスを当てて解説を行う.


続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。


続きを読む(PDF)   バックナンバーを購入する    入会登録

  

電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。

電子情報通信学会誌 会誌アプリのお知らせ

電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード

  Google Play で手に入れよう

本サイトでは会誌記事の一部を試し読み用として提供しています。