ニュース解説 誤り耐性量子計算機による量子優位性の早期達成に向けて――物性物理学における実用性を解明――

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Vol.107 No.10 (2024/10) 目次へ

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最近の新聞等で報道された技術情報を深める ニュース解説

◆今月のニュース解説

誤り耐性量子計算機による量子優位性の早期達成に向けて

 ――物性物理学における実用性を解明――

 Towards Quantum Advantage with Early Fault-tolerant Quantum Computers

AIを活用して海中の生物や構造物の三次元形状データを取得する技術を開発

 ――海洋ディジタルツインの実現に向けて――

 Development of Acquisition Technology for 3D Shape Data of Underwater Organisms and Structures Using AI: For the Realization of an Ocean Digital Twin

月・地球間の長距離光通信を想定した高感度センサ開発

 Development of High-sensitivity Sensor for Long-distance Optical Communication between the Moon and the Earth

誤り耐性量子計算機による量子優位性の早期達成に向けて

――物性物理学における実用性を解明――

 東京大学・NTT研究所・大阪大学の共同研究グループは,物性物理学の量子シミュレーションに必要とされる計算リソースに関する解析と試算を行い,量子計算機が古典計算機を超える「量子優位性」が現実的な時間スケールで達成される条件を世界で初めて明らかにした(図1).

図1 量子優位性を示すための要件  物性物理における量子シミュレーションは他の応用と比べて要求リソースが少ない.

 量子計算機は,状態の重ね合わせと干渉といった量子力学の性質に基づいて動作し,古典計算機を超える性能をもつことが期待されている.現在既に実現している量子計算機は,雑音の影響を強く受けてしまい,その計算精度は限られているものの,量子誤り訂正技術が進歩すれば,量子化学や機械学習などにおいて,古典計算を凌駕すると考えられている.

 従来の研究は,計算量のオーダ解析に基づくものが主流で,実際の計算時間を知ることはできない.また,量子化学や暗号解読といった分野で,計算時間の定量的な解析が行われてきたものの,量子優位性の実現に必要な計算時間は丸一日以上とされ,実用的な時間スケールでの量子優位性の達成が課題とされていた.


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