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Vol.108 No.1 (2025/1) 目次へ

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 * 新しい年が始まるのにちなんで新しさを出発点に思いを巡らせてみます.新しさには,見たことのない世界を望遠鏡や顕微鏡でのぞいて知るように気付かなかったものに気付くという新しさというのがあると思います.そんなことを考えていたら,身近なものさえ人は知らずに生きているという戒めとして大学時代に講義で教えられた「1932年チャドウィックが中性子を発見するまで人類は質量の半分,つまり,物の半分が何であるかを知らなかったのである」という言葉を思い出しました.いまの学生にとっては,宇宙の質量のほとんどを占めるというダークマターについて人類は何も知らない,という言葉になるのかもしれません.しかし,知るという行為は中性子やダークマターなどに限らず難しいように思います.望遠鏡や顕微鏡があって初めて何かがあることに気付くのと同様に,人は何らかの影響を受けて初めて何かを知るのではないでしょうか.

 * 今回は「アートと人と情報通信技術」という特別小特集となっています.普段とはちょっと違う切り口の記事になっているのではないかと思いますが,いかがだったでしょうか? 私の場合は,自分で気付かなかった何かを新たに気付かされるという意味で,アートは自分をのぞく望遠鏡や顕微鏡のようなものなのかな,など,いろいろ考えさせられました.

 * 本会誌では,今年も様々な記事をお届けし,皆様にとって有意義な情報の提供や気付きの一助となれるよう努めてまいります.本年も1年間よろしくお願いします.

(編集理事 橋本俊和) 


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