ニュース解説 実用的な大規模誤り耐性量子計算のための新アーキテクチャ――Bicycleアーキテクチャを提案――

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Vol.108 No.11 (2025/11) 目次へ

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最近の新聞等で報道された技術情報を深める ニュース解説

◆今月のニュース解説

実用的な大規模誤り耐性量子計算のための新アーキテクチャ

 ――Bicycleアーキテクチャを提案――

 A New Architecture for Practical Large-scale Fault-tolerant Quantum Computing:Introducing the Bicycle Architecture

走査プローブ顕微鏡を用いたナノスケールの実空間可視化を補助するMixed Realityインタフェース

 Mixed Reality Interface Supporting Real-space Nanoscale Visualization with Scanning Probe Microscopy

実用的な大規模誤り耐性量子計算のための新アーキテクチャ

――Bicycleアーキテクチャを提案――

 近年,量子コンピュータの実用化に向けて,最大の課題である「誤り耐性」の獲得を目指して,ハードウェア,ソフトウェア,そしてアルゴリズムの研究が盛んに続けられており進展が続いている.

 IBMは2025年6月に量子誤り訂正に基づいた新しいアーキテクチャ「Bicycleアーキテクチャ」を提案した.これは従来の量子誤り訂正アプローチの一つである表面符号を用いたアーキテクチャと比較して1論理量子ビット当りの必要物理量子ビット数を大幅に削減できる.また,このアーキテクチャはBivariate Bicycle符号(BB符号)と呼ばれる量子低密度パリティ検査符号を基にしている.BB符号は従来のトーリック(Toric)符号(二次元格子上に構成されるトポロジカル符号)を拡張した構造を持ち,隣接量子ビット間の接続だけでなく,量子ビット間の物理的な長距離接続を生かして高い符号率と高い誤り訂正能力を両立することができる(図1).更に,同社は新たなデコーディング手法「Relay-BP」を開発し,FPGA上でのリアルタイム誤り訂正を可能にした.これはBB符号にも応用可能であり,Bicycleアーキテクチャを支える高精度の量子誤り訂正技術として期待されている.

図1 Bicycleアーキテクチャ  物理量子ビット間長距離接続(紫線)を実現したモジュラー形式のハードウェアとなる


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