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シリコンフォトニクスの産業展開と新応用
小特集 4.
シリコンフォトニクスの発展とFMCWライダ開発
Progress in Silicon Photonics and Development of FMCW LiDAR
Abstract
シリコンフォトニクスは既に光集積回路プラットホームとして定着したが,大規模な半導体プロセスインフラを利用するため,市場規模が大きな応用が不可欠である.データ通信用光トランシーバは近年,需要が急増し,光電融合の展開が世界的に大きな話題である.更にこれに続く応用として期待されるのがライダ(LiDAR)である.特に周波数変調連続波(FMCW)方式のライダは,物体の三次元形状だけでなく速度や振動の分布もイメージ化でき,環境光雑音への耐性も高いため,自動運転をはじめ様々な応用に向けた新しいイメージセンサとして発展が期待される.
キーワード:シリコンフォトニクス,ライダ,FMCW,スローライト,フォトニック結晶
シリコン(Si)フォトニクスは,直径200~300mmのSilicon-on-Insulator(SOI)ウェーハ上にSiや関連材料の光導波路を形成し,Siが透明となるOバンド(波長1,260~1,360nm)やCバンド(1,530~1,565nm)で動作する光素子や光集積回路を構成する技術である.金属と絶縁膜,吸収材料のゲルマニウム(Ge)やSiGe,半導体ドーピングを組み合わせることで,キャリヤプラズマ効果,電界吸収効果,熱光学効果による光制御素子やフォトダイオード(PD)が得られ,異種材料集積まで用いれば,化合物半導体によるレーザやポッケルス材料による高機能素子も付加できる.これらはSi半導体プロセスインフラ(広義のCMOSプロセス)で製造され,高い品質と精度,集積性と機能性,生産性と再現性が得られる.大口の開発や生産だけでなく,複数のユーザが一枚のウェーハに相乗りするマルチプロジェクトウェーハ(MPW)を通じて小口の研究にも利用される.
本稿では,同分野のれい明期から光集積基盤として確立されるまでを,筆者の記憶を頼りに概説し,更に光変調器,ライダ(LiDAR)など,筆者らの最近の開発状況を紹介する.
Siフォトニクスの研究は1985年以降の米空軍研究所R.A. Sorefらに端を発し,やがて小さなコミュニティができて,1990年代にかけてSi導波路,キャリヤプラズマ変調器,Geフォトダイオード(PD)などが報告された(1).ただし当時はSOI基板や微細加工技術がなく,導波路の断面サイズは数m角以上,各素子の平面サイズも数百
m角以上と大きかったため,高度な光集積は行えなかった.変調器とPDも,大きな素子サイズの影響で応答はMbit/sオーダにとどまっていた.
一方,1990年代にはマイクロディスクとフォトニック結晶が登場し,光をサブµm領域に閉じ込めることが可能と認識されるようになった.筆者らは当時,光分野での利用がまだ珍しかった時間領域有限差分(FDTD)シミュレーションと電子ビーム露光による微細加工技術を立ち上げ,100nm級の微細周期構造であるフォトニック結晶の実証に取り組んでいた(2).一方で,これだけの技術があればSiフォトニクスの大幅な小形化が可能ではないかとも考え,並行して研究を進めた.そして2000年以降,今日の定番となる断面が200~500nm角のSi細線導波路,及び従来よりも劇的に小さな曲げや各種光素子の実証に成功した(図1)(3),(4).

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