巻頭言 学会の場を生かして

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Vol.108 No.12 (2025/12) 目次へ

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巻頭言

学会の場を生かして Advancing the Potential of the Society企画理事 浅井孝浩

 本会との出会いを振り返ると,今から約30年前に学生時代に研究室へ配属された際,先輩からの勧めで同学年の研究室メンバー全員で入会したことが始まりでした.当時は,将来この学会で企画理事を務めることになるとは想像もしておらず,同様にしてこれから先においても,現段階では予見できない様々な出来事や体験にめぐり合うことができるのではないかと考えています.

 このような観点から学生の皆様には,是非,学会の場を積極的に活用して頂きたいと思います.卒業後,社会人となってからも学会とのつながりを維持することで,新たな気付きやヒューマンネットワークの拡大につながるのではないかと思います.また,様々な業界や職種でグローバルな活動が期待される昨今において,学会での発表経験はプレゼンテーションやディスカッションのスキルを高める上でも非常に有用であると思います.更に,最近の新聞記事によりますと,企業の人事担当者が学会発表の場に足を運び,技術力の高い学生に直接コンタクトするケースもあるようです.本会においても,年に2回行われる大会では企業や研究機関における人材採用に向けたブース展示を募るとともに,研究成果のポスター発表を通じて企業と学生のマッチングを図るイベントを実施しています.

 また,学会発表や懇親会の場を通じて様々な先生方や研究機関・企業の方々とのネットワークが広がることは,将来的な活動の幅が広がる大きなきっかけとなる可能性があります.私自身も産学連携プロジェクトに参加した際に,学会の場で知り合った先生方や社外の方々には大変お世話になり,円滑に取組みを進めることができました.また,以前に聴講した依頼講演では,「ちょっとした会話やQ & Aでのやり取りをきっかけに新たなコラボレーションが始まることもあり,学会発表の場で様々な参加者とつながることが重要」,との言葉が印象的でした.

 社会における雇用環境の流動性が高まっている昨今の状況においては,学会で知り合った方が同じ職場で働く同僚となることや,新たな職への転身を考える際に,学会で知り合った方々から貴重な情報を得られることもあるかと思います.学会でのつながりは,技術交流にとどまらず,人生の節目においても支えとなる可能性を秘めています.学生の皆様には,ぜひ学会を通じて未来の可能性を広げて頂きたいと思っています.

 次に,企業並びに研究機関の皆様,とりわけ人事採用部門の皆様に学会の場を活用頂けるのではないかと考えています.既に幾らかの企業の方々が学会発表の場に参加頂いているようですが,学生による発表や質疑応答の様子からは,エントリーシートや履歴書では読み取ることのできない資質やコミュニケーション能力,課題への取組み姿勢などを垣間見て頂けるのではないかと思います.

 学会が従来から備える意義として,良質な技術情報の習得,学会投稿を通じた論理的思考力・文章作成力の向上,学会発表を通じたプレゼンテーションスキル・ディスカッションスキルの向上,そしてヒューマンネットワークの拡大などがあると思います.これらに加え,学生の皆様並びに企業・研究機関の皆様には学会の新たな活用に向けて学会との関係性を持ち続けて頂き,学会による様々な活動の場を生かして頂ければと考えています.


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