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NHK放送技術研究所は,小形でぼやけの少ない広視野な放送用カメラの実現を目指した研究を進めている.今回,独自の作製手法によって,世界で初めて厚さ0.01mmの薄くて曲げられるシリコンイメージセンサを開発し,湾曲させて動作させることで横方向のぼやけを大幅に改善した映像の撮影に成功した.
イメージセンサは,レンズを通った光を電気信号に変換する素子である.従来の平面構造のイメージセンサでは撮像面と結像面(レンズによって被写体からの光が結ばれてできる像の面)にずれ(収差)が発生し,映像の周辺部でぼやけが生じる.また,撮影の視野を広げるほど,収差の影響は大きくなる.通常は,多数のレンズを組み合わせて光を複数回屈折させることによりこの収差を補正しているが,カメラが大きくなってしまう問題がある.これに対し,イメージセンサを結像面に合わせて湾曲させることで,少ないレンズ枚数で収差を補正できる本方式では,広視野撮影での高画質化や,カメラの小形・軽量化が可能となる(図1).
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