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こんにちは.登大遊と申します.よろしくお願いします.
自分は,2003年に筑波大学という大学に入りました.そこで,VPNのソフトウェアを作り,2004年にソフトイーサ株式会社という会社を起業し,20年間経営を続けています.
また,2017年から国の組織である独立行政法人情報処理推進機構(IPA)で仕事をしています.同時に,NTT東日本という,皆さんが御自宅でフレッツ光などをお使いの場合に関わる会社にも所属しています.独占的な電話会社というのは,一般的には「けしからん」と思われがちかもしれませんが,私もそのNTT東日本の社員として働いております.筑波大学にも籍を置いております.
本日は,コンピュータやクラウド,セキュリティ,インターネットなどのIT基盤技術が,日本からいわゆるプラットホーム産業としてどのように発展していくのかというお話をします.また,皆様がもしコンピュータやインターネット,クラウド,セキュリティ,AIの分野に関わられる場合に,どのように行動すれば個人的にも有利になるのかというお話をさせて頂きたいと思います.
日本の現在の問題は次のとおりだと思います.第1に,社会基盤としてのコンピュータ,特にインターネットやクラウド,セキュリティのようなものが,社会基盤になっているにもかかわらず,その部分の基礎的な知識を持つ人材が余りにも少ないことです.文系分野で経済や政治,法律が社会基盤であるのと同じようにコンピュータが社会の基盤となっているのに,人材不足が第1の問題として挙げられます.第2の問題は,日本がIT先進国であるアメリカと比較して,GoogleやAmazon,Microsoftのようなプラットフォーマーがなかなか生まれてこないことです.このプラットフォーマーをどうやって作ればいいのか,これが第2の問題です.第1の問題は国の統治に関わる課題であり,第2の問題は国の産業に関わる課題です.この二つの問題を同時に解決する方法を考えなければなりません.
では,どう解決すればよいのか.これは後にも述べますが,余り計画的に進めるのではなく,自由な発想で様々な試行錯誤ができる環境を作ることが一番重要だと思うのです.製造業や造船,化学,半導体,家電製品など,これまで日本人がやってきたことを振り返ってみると,単に外部から技術を取り入れるだけでなく,それを自分たちの手で成長させ進化させる過程で試行錯誤が非常に重要だったことが分かります.コンピュータやインターネット,セキュリティ,AIの分野でも同じです.
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