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* 9月になっても,まだまだ暑さが続いています.4月から新生活を迎えた学生や社会人の皆様も,新しい環境に慣れてきた頃ではないでしょうか.少し余裕が出てきて,「もっと良いやり方はないだろうか」と考え始める方も多いかもしれません.
* 今月号の小特集は「STEAM教育」です.科学(Science),技術(Technology),工学(Engineering),芸術(Art),数学(Mathematics)の5分野を横断的に学ぶこの教育アプローチは,単なる知識の習得ではなく,「問いを立て,形にし,他者と意味を共有する力」を育てることを目指しています.中でも“A”のArtは,美術やデザインの技法に限らず,「なぜやるのか」「何のためにやるのか」といった問いを見いだす感性そのものを含みます.創造性やデザイン思考,他者との対話力を生かしながら,より人間らしい視点で問題を捉え,解決へとつなげていく.そのような姿勢を育むことが,STEAM教育の大きな目的の一つです.
* この姿勢は,むしろ社会でこそ求められる力だと感じています.私が新人だった頃,上司に「何でもいいから,やってみて」と言われて戸惑いました.自由にやっていいと言われた途端,何から始めればいいのか分からなくなる.やっと形にしても,「なぜこれをやるのか」「誰に役に立つのか」と問われる.与えられた問いを解く教育を受けてきた私にとって,適切な問いを立てるのは簡単ではありませんでした.それでも,「考えて動いてみること」「やってみながら探すこと」を許される場があると,少しずつ自分の立ち位置や自分なりのやり方が見えてきて,周囲との対話を繰り返す過程で,「問いを立て,形にする」方法を学んでいったように思います.「何でもいい」というのは,「自分で問いを見つけてほしい」という上司の期待があったのだろうと思います.
* 小さい我が子に「何でもいいから」とクレヨンを渡すと,フローリングに大きな“何か”を描き始めました.これがSTEAM教育が目指す「Art」なのかもしれません.
(編集特別幹事 鈴木晃人)
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