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2019年末から始まった新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大は,本会を含む多くの学会活動に大きな影響を及ぼし,研究会や国際会議をはじめとする様々な場がオンラインへと移行することを余儀なくされました.従来は対面による議論を重視していた学会活動も,やむを得ずオンライン開催となりましたが,それでも最低限の機能である研究発表と意見交換が維持されたのは,ひとえに通信・ネットワーク技術の進展によるものです.もしパンデミックが10年早く起きていたとしたら,学会の存在意義そのものが問われていたかもしれません.
オンライン化には副次的な利点もありました.どこからでも気軽に参加できることから聴講者数が大幅に増加し,研究会や国際会議への参加のハードルを大きく下げる結果となったのは,正に“不幸中の幸い”と言えるでしょう.
その後,コロナ禍が収束に向かい,社会活動も徐々に正常化してから約2年が経過しました.現在,本会の活動も,オンラインの利点を取り入れつつ,対面での運営がほぼ元の形に戻りつつあります.研究会では,初めての発表に緊張する学生が入念に準備し,発表後には経験豊富な先輩研究者から温かくも鋭いコメントを受ける姿が見られます.こうした,相手の反応や空気感が伝わるリアルなやり取りは,対面ならではの価値であり,学びの深さも増しています.
一方で,オンライン開催時に急増した聴講者数は減少傾向にあり,在宅勤務などで生まれた時間の余裕が失われ,かつての多忙な生活様式へと戻った影響も見られます.また,せっかく広がった研究者間が集う場が,聴講するだけという情報収集にとどまってしまうのは残念なことです.
学会活動には,研究発表や最新動向の把握に加え,研究者・学生間のネットワーキングという大切な側面があります.コロナ禍により,こうしたネットワーキングの要であった懇親会などの開催が困難になっていましたが,2023年度半ばからはその制約も解消され,各研究会や国際会議において,ソーシャルな交流の場が本格的に再開されています.
これらの交流の場は,単なる懇親の機会にとどまらず,昼間の発表に対する貴重なフィードバックや,共同研究のきっかけ,更には学生にとっての就職機会の発見など,非常に意義のある場となっています.時には,思いがけず雑用が増えることもあるかもしれませんが,そこで育まれるコミュニティは,将来的に大きな財産となるはずです.
パンデミックの間はオンラインで聴講されていた皆様も,是非本会が主催する研究会,大会,国際会議などに積極的に御参加頂き,ネットワークの輪に加わって頂き,活発な意見交換に御参加下さい.より学会を身近に感じられることと思います.また,会議を運営される皆様には,新たに参加される方々がスムーズにコミュニティに入っていけるよう,あたたかい配慮を頂ければと思います.
最後に,会計理事の立場から申し上げると,研究会・国際会議・大会は論文誌と並ぶ学会の中核的な活動であり,その収入は学会の運営を支える重要な財源となっています.少子化などにより会員数の減少が懸念される中で,これらの活動は本会の持続的な発展にとって不可欠です.今後とも,皆様の積極的な御参加と御支援を,心からお願い申し上げます.
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