
編集にあたって
子供は,おおむね次の三段階を経て将来の進路を決める.小学校高学年から中学校にかけて将来を意識し始め,多感な中学生の頃に自己イメージが形成され,高校1年生になると文系・理系の進路を選択する.ここで注目したいのは,文理の選択が本人の能力だけでなく,しばしば無意識の偏見(unconscious bias)によって左右される点である.
「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS2019)」によると,日本の小・中学生はいずれも算数・数学,理科の成績が世界トップレベルにある.一方で,「数学を使う職業につきたい」と回答した割合は国際平均49%に対し日本は23%,「理科を使う職業につきたい」は国際平均57%に対し日本は27%である.すなわち,日本の子供たちは理数科目が得意でありながら,理数系の進路には苦手意識を抱いているようである.ならば,もっと早い段階から理数分野に親しみ,楽しみながら興味を持ってもらうことが重要ではないだろうか.
本特別小特集は,子供たちの理数系に対する「苦手意識」を払拭し,本会の扱う分野に興味を持ってもらうことを目的として企画した.各章の冒頭には見開きのイラスト,その後に解説記事を掲載している.内田華代氏によるイラストを大きく配置し,小学校低学年でも読めるようにルビを付した.是非,お子さんと一緒に読んで,遊びながら学んで頂きたい.
最初の「QRコードを支える技術」では,QRコードを用いたクイズを掲載している.スマートフォンをかざしてQRコードを読み取り,何が表示されるか試してみてほしい.解説記事は,QRコードの発明者である原昌宏氏に御執筆頂いた.
「コンピュータはこうして生まれた! 半導体の歴史」では,見開きページで半導体の歴史を分かりやすく紹介し,以降の記事では池田氏,吉田氏が平易な解説を加えている.
「超人スポーツ──未来をつくる新しい遊びと競技──」では,まるでアニメのように身体機能を拡張する未来型スポーツを紹介している.誌面のQRコードから各競技の紹介ページへもアクセスできるので,是非体験してみてほしい.
以上のように,本号は大変楽しい特別小特集となった.御執筆・御協力下さった執筆者の皆様,そして,通常とは異なるテイストの本特別小特集を熱心かつ丁寧に編集して下さった編集チームの皆様に,心から感謝申し上げる.
最後に,私の大好きなヨシタケシンスケの絵が載っている「一年一組せんせいあのね」(鹿島和夫(選))から,子供のつぶやきを一つ紹介したい.
はだかで/はをみがくと/ちんちんがゆれます
子供は本当に面白い.どうぞ,子供とたくさん遊んで下さい.

