空孔コアファイバは,石英コアファイバに比較して低損失,低遅延,高パワー耐力,低光非線形性などの特長を有している.これらの特長を生かして短距離通信システムでの利用が進んでいくと考えられる.第1の事例は,多数のIoT機器とONUを収容する超多分岐PONへの応用であり,空孔コアファイバをOLTから分岐部までの伝送路に利用する.送信光出力を高めて分岐数を増大させ,上り信号を増幅する光増幅器を光給電して駆動する.第2の事例は,多数のアンテナを必要とする無線システムへの応用であり,空孔コアファイバを張り出しアンテナまでの伝送路として利用する.アナログRoFによって無線信号をアンテナに送付し,同時に光給電によってアンテナを駆動する.

空孔コアファイバの短距離光通信システムへの応用
Application of a Hollow Core Fiber to Short Reach Optical Communication Systems
Abstract
キーワード:空孔コアファイバ,アクセスネットワーク,PON,RoF,光給電
1. 背 景
石英光ファイバは,既に開発初期の段階でも1.5μm帯において,理論限界に迫る0.2dB/kmの低損失特性が実現され(1),光ファイバ通信技術の研究開発が隆盛した.その後,光源と変復調技術を支える光デバイス技術の進展に合わせて,光ファイバの低損失帯の拡大,分散特性の最適化が行われ,光伝送システムの長距離大容量化が進展した.更なる光伝送システムの大容量化に向けて,マルチコアファイバやマルチモードコアの導入(2),未開拓のSバンド,更に,E,T,Uバンドの利用も検討されてきた(3),(4),(5).一方,空孔コアファイバ(HCF: Hollow Core Fiber)の研究開発(6)も1990年代から行われてきた.異種材料を空孔に充填した光非線形ファイバとしての研究が行われたが,伝送用のファイバとしては注目されていなかった.ところが,近年,石英コアファイバよりも低損失なHCFが発表(7),(8)されたことを端緒として,HCFを利用する光伝送システムの研究が一気に隆盛し,大容量伝送実験(9),フィールド実験(10)等が精力的に行われている.また,低遅延のデータセンター間通信を目的とするHCFを用いた無中継長距離伝送実験(11)も実施された.我々は,総務省のプロジェクトの一環として早期にHCFを用いる超多分岐PON(PON: Passive OpticalNetwork)の研究(12),(13),(14),(15),(16)に着手し,HCFケーブルを世界で初めて大学敷地内に埋設した.本稿では,HCFの特性,HCFを利用する超多分岐PONと光給電RoF(RoF: Radio over Fiber)について述べる.

