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Vol.109 No.7 (2026/7) 目次へ

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タイトル

(写真:敬称略)

著者

受賞者 榎 本 忠 儀


推 薦 の 辞

 榎本忠儀君は,米国Ohio州立大学大学院を1975年に卒業し,Ph.D(博士号)を取得されました.1975年から日本電気(NEC)中央研究所において主任,課長,部長として半導体集積回路(LSI)とこれを応用したシステムの研究・開発に従事されました.1992年から中央大学理工学部及び大学院の教授として上記分野の研究・開発・教育に寄与されました.2014年から中央大学名誉教授として同分野の研究・開発を継続されております.

 同君は動画像通信を中心とするマルチメディア時代に備え,その中核となる半導体LSI・システム技術の研究・開発に取り組み,数々の先駆的な業績を挙げました.音声のみを送受する固定電話に代わり,動画像も送受できる携帯電話を実現するため,同君は動画像を実時間で符号化・復号するプロセッサ(GPU ; Graphics Processing Unit)を世界に先駆けて開発し,その実用化に成功しました.開発にあたり,様々な規格や方式に対応するプログラム制御方式,新たな超高速・多機能符号化回路,等を開発しました.その後,並列・パイプライン符号化方式,ベクトル演算符号化方式,超高速間引き動きベクトル検出方式,等を開発し,これらを搭載した高性能GPUを実用化しました.上記技術は今日のスマホ,パソコン,テレビに必須のGPUを構築するための基盤技術となっています.更に,データ検索機能を持つ宛先照合LSIや単語検索LSIも実現しました.前者はビル内LANシステムを実用化し,後者は電子辞書や翻訳器の商品化に道を開きました.LSIの低電力化・小型化にも注力しました.新たに開発した低電力CMOSベクトル演算LSIを搭載することにより,空冷式スーパーコンピュータが世界で初めて製品化されました.2個のトランジスタで構成される超小型オンチップCMOS電源回路の発明は低電圧動作・低リーク電流SRAMやFlip Flopを実現しました.チップの表と裏を継なぐ垂直配線形成技術の発明により,世界初の積層型三次元LSIを実現しました.現在本技術は非接触ICカード乗車券,等に広く利用されております.上述した成果は半導体LSI・システム技術の発展と新たな市場の創出に多大な貢献を果たしました.

 同君は本会集積回路研究専門委員会委員長,電子デバイス研究専門委員会委員長,英文論文誌特集号委員長,IEEE Jour. of Solid-State Circuits編集委員,IEEE Tran. on VLSI Systems編集委員,日本国際賞受賞候補者推薦委員,知的財産高等裁判所専門委員,通産省三次元回路素子開発研究員,中央大学理工学部情報工学科学科長,等重要な職責を担いました.特に集積回路研究専門委員会の初代幹事並びに創設期の委員長として,本研究専門委員会を本会で最も活動的な委員会の一つに,LSIとシステムのワークショップを国内有数の会議に,育てました.

 同君は研究成果を多数の論文や特許で発表して国内外で高い評価を受けました.更に実用レベルの専門書(CMOS集積回路,ナノCMOS集積回路,画像LSIシステム設計技術)を出版することにより,LSI技術の発展に貢献すると同時に,多くの人材を産業界に送り出しました.同君は以上の功績により,本会論文賞,本会業績賞,本会功績賞,電気通信普及財団賞,IEEE JSSC Best Paper Award,IEEE ASP-DAC Best LSI Design Award,Ohio州立大学Fellowship,等を受賞しました.更に,本会フェロー,IEEE Life Fellowにも選出され,日本を代表する研究者として国際的に高く評価されています.

 以上のように,同君の本会並びに電子情報通信技術の発展に寄与した功績は極めて顕著であり,ここに同君を本会の名誉員として推薦致します.


著者

受賞者 橋 本   修


推 薦 の 辞

 橋本 修君は,1978年に電気通信大学大学院修士課程を修了し,同年4月に株式会社東芝に入社されました.その後,1981年に防衛庁技術研究本部へ入庁し,1986年に東京工業大学大学院理工学研究科博士課程を修了されました.1991年から青山学院大学に着任され,1997年に同大学理工学部教授に就任されて以来,教育・研究の両面において顕著な業績を挙げられました.2012年には理工学部長・研究科長,2019年には副学長を務められ,2022年に名誉教授となられた後も,客員教授・プロジェクト教授として後進の指導に尽力されています.

 同君は,マイクロ波・ミリ波帯における電波吸収体の研究開発及び実用化において先駆的な成果を挙げられました.特に,電波吸収体の測定技術の体系化,高度な材料定数測定法の確立,並びに電磁界解析に基づく最適設計手法を統合することにより,広帯域かつ超軽量な抵抗膜型電波吸収体を世界に先駆けて開発されました.これらの成果は,ETC用,無線LAN用,レーダ用,近傍電磁界吸収用など多様な用途に応用され,電子工学・情報通信分野のみならず建築分野にまで広く波及しています.とりわけ,ETC用電波吸収体技術は,我が国におけるETCシステムの実用化及び普及に大きく寄与し,社会基盤技術として重要な役割を果たしています.

 また,同君は電波吸収体及び高周波材料測定技術に関する研究分野において,国際会議や専門誌を通じて研究成果を積極的に発信するとともに,多数の論文や解説記事により体系的知見を蓄積されました.これらの成果は,当該分野における我が国の研究水準を国際的に示し,研究交流の促進と学術基盤の確立・発展に大きく寄与するとともに,国内外の研究者に広く参照され,本分野の研究指針を与える重要な役割を果たしています.更に,関連産業の技術発展を促進し,社会実装の進展にも大きく寄与しています.

 これらの研究成果に対し,電子情報通信学会論文賞,業績賞,功績賞,エレクトロニクスソサイエティ賞をはじめ,電気学会業績賞,Asia-Pacific Microwave Conference(APMC)2006 Prizeなど多数の顕彰が授与されており,同君の学術的貢献の大きさを示すものです.

 また同君は,教育者としても卓越した実績を有し,これまでに博士28名,修士229名を含む多数の人材を育成し,産業界及び学術界へ輩出されました.更に,「電波吸収体入門」「FDTD時間領域差分法入門」「Pythonによる数値計算の基礎」などの専門書をはじめとする多くの著作を通じて,当該分野の体系化と普及に大きく寄与されました.

 社会的貢献においても,国土交通省,総務省,経済産業省等の各種委員会に参画し,電波吸収体技術の標準化及び電波利用政策の推進に中心的役割を果たされました.本会においては,マイクロ波研究専門委員会委員長,EST研究専門委員会の発足及び委員長,国際会議APMC国内委員長,エレクトロニクスソサイエティ会長などの要職を歴任され,学術活動の発展と国際的地位の向上に指導的立場から尽力されました.

 以上のように,橋本 修君は,独創的な研究成果,顕著な社会的貢献,並びに後進の育成と学会運営への献身的な尽力を通じて,本会及び関連分野の発展に極めて多大な貢献をされました.よって,ここに同君を本会名誉員として推薦するものであります.



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