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タイトル

モザイク素子とその設計技術

Mosaic Based Devices and Their Design Methods

藤澤 剛 辻 寧英 御手洗拓矢 澤田祐甫 沖本拓也

平谷拓生 小松憲人 八木英樹 藤原直樹

Takeshi FUJISAWA, Member (Faculty of Science and Engineering, Hosei University, Koganei-shi, 184-0002 Japan),

電子情報通信学会誌 Vol.109 No.7 pp.603–607 2026年7月

© 2026 電子情報通信学会

近年,シリコンフォトニクスプラットフォームにおいて,各種の光受動素子を究極的に小型化可能で,なおかつ,光を柔軟に制御可能なモザイク素子が大きな注目を集めている.モザイク素子においては,目的の性能を有するモザイクパターンを探索する必要があるが,それを人間のマニュアル設計で見いだすことは難しく,何らかの自動設計技術が必要となる.本稿では,筆者らが開発してきた,機械学習技術や,物理に基づく勾配演算を用いる,各種のモザイク素子設計技術と,その超小型素子への応用例を示す.

キーワード:モザイク素子,シリコンフォトニクス,直接2分探索法,機械学習,随伴変数法

1. は じ め に

IOWN等に代表される,次世代ネットワークにおいて光電融合を実現するための,シリコンフォトニクスによる超小型光集積回路の研究が進んでいる.シリコン導波路を用いることで,その大きなコア・クラッド間の比屈折率差(math)により,導波路そのものの大きさを従来の化合物半導体導波路に比べ,100分の1程度に縮小することができる.そのため,シリコンフォトニクス技術を用いて,これまで様々な光集積回路の大規模集積化・小型化が実現されてきた.しかし,通常の導波路型素子は,動作原理自体は従来材料系のものと同じであるので,小型化には導波路型であるが故の限界がある.こうした従来素子の小型化の限界を打破し,シリコンフォトニクスプラットフォームにおける究極的な小型化を可能とする素子として,モザイク素子が注目を集めている(1).本稿では,このモザイク素子の概要を説明し,筆者らが開発してきた独自の設計法,そして,実際のモザイク素子の例を幾つか示す.

2. モ ザ イ ク 素 子

図1に,一般的なモザイク素子の構造図を示す.シリコンフォトニクスにおいては,シリコンを導波路のコアに用い,空気,若しくはmathの上部クラッドを持ち,矩形のモザイク領域の,任意の位置に入出力導波路が接続されている.モザイク領域は,100~200nm角程度のピクセルに分割され,それぞれのピクセルに1(コア),0(クラッド)が,図1のようにモザイク状に割り当てられる.コア・クラッド間で極めて大きな屈折率差をもつため,一つのピクセルにおける光の位相変化を柔軟に操ることができる.そのため光のパワースプリッタなどの単純な機能から,より複雑な,波長・モード制御など,目的に応じて光を柔軟に制御することが可能である.また,同じ機能を有する導波路素子に比べ,その面積を10から100分の1程度に縮小可能であり,シリコンフォトニクスにおいて,光受動素子を究極的に小型化できる可能性がある.モザイク素子の設計にあたっては,目的となる機能を有するモザイクパターンを見つけることが最重要となる.全ピクセル数がmathの場合,モザイクパターンの全数はmathとなるが,ピクセル数は少なくとも数百はあることが多く,人間のマニュアル設計によって,その中から目的の性能を持つモザイクパターンを発見することはほぼ不可能である(mathに対する組合せの“桁数”は31桁).そのため,モザイク素子では,所望の特性をもつモザイクパターンを見つけるための設計法がキー技術となる.


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