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Vol.109 No.8 (2026/8) 目次へ

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タイトル

整合回路の基礎[Ⅱ]

――math型整合回路(1)――

An Introduction to Matching Circuit Fundamentals[Ⅱ]

math-Type Matching Circuit (1)

田中 聡

田中 聡 正員:フェロー 広島大学大学院先進理工系科学研究科量子物質科学プログラム

Satoshi TANAKA, Fellow (Graduate School of Advanced Science and Engineering, Hiroshima University, Higashihiroshima-shi, 739--8530 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.109 No.8 pp.775–780 2026年8月

© 2026 電子情報通信学会

1. は じ め に

前回は整合回路(用語1)の基本であるL型整合回路(LC/CL)について解説した(1).今回はmath型整合回路について紹介する.math型整合回路の特徴として,複素インピーダンスを含む広い負荷条件に対応できる点が挙げられる.このため,多くの多段増幅回路において段間整合回路として用いられている.一方で注意すべき点として,例えば終端インピーダンスが純抵抗の場合には,素子数が多いにもかかわらず,必ずしもL型整合回路より整合帯域が広くならない場合がある.また,math型整合回路の代表的な応用例として,伝送線路(用語2)の等価回路としての利用が挙げられる.伝送線路,特にmath伝送線路を用いた回路は有用であることが多いが(2),回路寸法が長くなるため,実装上の制約から適用が困難な場合も少なくない.このような場合,math型整合回路で等価的に置き換える手法が広く用いられている.本稿では,このようなmath型整合回路の基本特性について解説し,次回に応用例を紹介する.

2. math型整合回路の整合範囲

図1に二つの代表的なmath型整合回路の構成を示す.ここでは信号源抵抗をmath,負荷抵抗をmathとする.math型整合回路には,シャント素子(用語3)を容量,スルー素子(用語4)をインダクタで構成したCLC型と,シャント素子をインダクタ,スルー素子を容量で構成したLCL型の2種類がある.

図2はL型LC/CL整合回路が,単一周波数でスミスチャート中心に位置する基準インピーダンスmathと整合可能な信号源インピーダンスmathの範囲を示したものである(3).(a)はLC整合回路の場合であり,薄青色でハッチングされた領域内にある複素インピーダンスmathmathと整合を取ることが可能である.

(b)は入出力を反転させた場合のLC整合回路の場合であり,薄いマゼンダ色でハッチングされた領域内にあるmathmathと整合可能である.この領域は(a)の範囲を補完している.(c)はCL整合回路の場合であり,薄いマゼンダ色でハッチングされた領域内のmathmathと整合可能である.(d)は入出力を反転させた場合のCL整合回路の場合であり,薄青色でハッチングされた領域内のmathmathと整合可能である.この領域は(c)の範囲を補完している.このようにLC/CL整合回路は単一の整合回路で任意のmathmathに整合することはできないが,接続方向を反転することで全域をカバーすることができる.これに対してmath型整合回路では,単一周波数においては,両端にシャント素子を配置することで(e)に示すように一つの整合回路で任意の複素インピーダンスを基準インピーダンスに整合させることができる.整合の取れるインピーダンスの自由度が高いため,例えば多段増幅器の段間整合回路等に広く適用される(4)


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