解説 8Kスーパーハイビジョンの医療応用

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Vol.100 No.10 (2017/10) 目次へ

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解説

8Kスーパーハイビジョンの医療応用

8K Super-Hi Vision for Advanced Medical Application

山下紘正 谷岡健吉 千葉敏雄

山下紘正 カイロス株式会社

谷岡健吉 一般社団法人メディカル・イメージング・コンソーシアム

千葉敏雄 カイロス株式会社

Hiromasa YAMASHITA, Toshio CHIBA, Nonmembers (Kairos Corporation, Tokyo, 101-0062 Japan), and Kenkichi TANIOKA, Nonmember (Medical Imaging Consortium, Tokyo, 101-0062 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.100 No.10 pp.1100-1105 2017年10月

©電子情報通信学会2017

abstract

 我々は日本発の超高解像度映像技術である8Kスーパーハイビジョンを医療分野へ応用するため,2013年の8K腹くう鏡下動物実験を皮切りに,8K腹くう鏡下胆のう摘出手術,8K顕微鏡による眼科手術,8K内視鏡による開胸下弁置換術観察等を世界で初めて実施してきた.我々は8Kスーパーハイビジョンの威力を実感し,従来の医療を一変させる別次元の可能性を有することを確認した一方で,いまだ多くの課題を抱えていることも痛感した.本稿では8Kスーパーハイビジョンの医療応用の最新動向と,実用化に向けた展望について解説する.

キーワード:8Kスーパーハイビジョン,視力4.27,硬性内視鏡,手術顕微鏡

1.は じ め に

 現在の医療ではカメラやディスプレイ等の映像技術が欠かせないものとなっている.体くう内を観察するための内視鏡は,大腸ポリープ切除術や早期胃・大腸がん摘出術,腹くう鏡手術等,様々な治療手段としても不可欠である.特に外科手術で使用される金属の筒にレンズを内蔵した内視鏡は硬性内視鏡と呼ばれ,根本側にカメラが接続される.医師や看護師はディスプレイで内視鏡画像を見ながら手術を行う.一方手術用の顕微鏡は,脳神経外科や眼科,整形外科等,微細で精密な手術が必要な領域で用いられている.内視鏡と異なり執刀医や助手は接眼レンズを両目でのぞき込みながら,小さな術野を高倍率に拡大した視野を頼りに手術を行う.カメラやディスプレイは手術映像を教育用に撮影する等,あくまで補助的な役割として用いられているのが一般的である.いずれにおいてもレンズや照明等の光学技術やカメラやディスプレイ等の映像技術の進歩とともに基本的な性能が向上していったが,その解像度はせいぜいHD(2K,約200万画素,1,920×1,080画素)にとどまっていた.本稿では,医療用の内視鏡や顕微鏡を大幅に進化させるための8Kスーパーハイビジョン(以下,8K)技術の応用と,これまで臨床評価で得られた様々な知見について解説する.

2.8K内視鏡:硬性内視鏡への応用

 現在の硬性内視鏡手術で使用されている多くの内視鏡の解像度は2Kであり,これに対して8Kの解像度は約3,300万画素(7,680×4,320画素)である.我々は,更なる高い解像度で映像表現力等に大きな変革をもたらすと期待され,既に放送用の実用化試験も開始されている8Kを選択し,医療応用の第一歩として,2013年から硬性内視鏡への応用を開始した.

2.1 8K内視鏡カメラ

 8Kカメラの重量は2002年には80kg,2004年には40kg,2010年には20kg,そして2013年には2.5kgと,急激に小形軽量化が進んだ(図1).8K腹くう鏡下動物実験では2.5kgのモデルを用いたが,2014年の8K腹くう鏡下胆のう摘出手術では更に300g軽量化したモデルを用いた.


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