特集 2-2 5Gで実現する自動運転

電子情報通信学会 - IEICE会誌 試し読みサイト
Vol.101 No.11 (2018/11) 目次へ

前の記事へ次の記事へ


2. 5Gで開く新たなアプリケーション

特集2-2

5Gで実現する自動運転

5G as an Enabler for Automated Driving

吉野 仁

吉野 仁 正員 ソフトバンク株式会社先端技術研究部

Hitoshi YOSHINO, Member (Advanced Technology Research Department, SoftBank Corporation, Tokyo, 105-7317 Japan).

電子情報通信学会誌 Vol.101 No.11 pp.1078-1084 2018年11月

©電子情報通信学会2018

abstract

 5Gは,従来からの大容量通信に加えて新たに高信頼・低遅延通信の実現を目指している.また,自動運転技術は,センサ技術,AIによる画像認識技術などにより実現が近づいてきた.しかしながら,完全自動運転の実現にはまだ技術的難易度が高いと言われている.近年,自動車の制御技術に通信を応用する検討も行われ,車間距離制御(ACC: Adaptive Cruise Control)に通信機能を付加した協調型ACCなどで成果を上げている.本稿では,5Gの提供する大容量低遅延の通信能力が,どのように自動運転技術に活用できるかを解説する.

キーワード:5G,自動運転,車両制御,センサ,ダイナミックマップ,隊列走行

1.は じ め に

 2020年の商用化に向けて第5世代移動通信システム(5G)の研究開発が行われている.5Gは従来の能力拡張である拡張モバイルブロードバンド通信(eMBB: enhanced Mobile Broadband)に加えて,超高信頼・低遅延通信(URLLC: Ultra-Reliable and Low Latency Communications)や多数接続通信(m-MTC: massive Machine Type Communications)を新たな領域としており,高度情報化社会の社会基盤として期待されている.特にURLLCとm-MTCは新しい市場を開拓できる可能性があり,具体的な5Gの適用事例の確立が急務である.

 一方,自動車メーカやIT企業などが完全自動運転車の実用化に向けて開発を進めている.完全自動運転車の早期実現に向けて5G URLLCの自動運転技術への応用も期待されている.本稿では,5Gの自動運転への適用の可能性と最新動向について解説する.

2.自動運転のレベル

 自動運転のレベルは,米国SAE(Society of Automotive Engineer)Internationalによって定義されている(1).米国運輸省(NHTSA)及び日本の官邸ITS構想ロードマップもSAEの定義に合わせている(2).SAEによれば自動運転のレベルは0から5までに分類される(図1).

図1 自動運転のレベル

 レベル0は,加速,制動,操舵などの全ての運転操作を人間の運転者が行う.


続きを読みたい方は、以下のリンクより電子情報通信学会の学会誌の購読もしくは学会に入会登録することで読めるようになります。 また、会員になると豊富な豪華特典が付いてきます。


続きを読む(PDF)   バックナンバーを購入する    入会登録


  

電子情報通信学会 - IEICE会誌はモバイルでお読みいただけます。

電子情報通信学会誌 会誌アプリのお知らせ

電子情報通信学会 - IEICE会誌アプリをダウンロード

  Google Play で手に入れよう

本サイトでは会誌記事の一部を試し読み用として提供しています。